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【書評】スマホ脳 アンデシュ・ハンセン(Anders Hansen)No.3


【はじめに】

こんにちは!今日は「スマホ脳」というスマホが必要不可欠な生活インフラとなったデジタル社会の今こそ、読んでおきたい本の書評をしてみたいと思います。


著者はスウェーデンのノーベル生理学・医学賞の選考委員会があるカロリンスカ医科大学で医学を学んだ若きスウェーデン学者、アンデシュ・ハンセン氏。今スウェーデンで最も注目されているメンタルヘルスのインフルエンサーです。

この本を読んでたくさんのマーカーを引きました。とても転売できないほどに(笑)気づきがとても多く、いかにスマホを触っている時間が多いかと嫌でも気付かされました。そしてその悪影響も自覚させられました。

2歳4ヶ月の娘にデジタル依存、スマホ依存になってほしくない、そのためには親である私達がスマホとの付き合い方を変えなきゃなと強く思ったものです。


この本を特にオススメしたいのは以下の方です。

◆スマホ中毒症の方(5分でもスマホを手放すと禁断症状が出る!)        ◆謎の身体の不調、不眠、イライラしやすい、集中力が切れやすいなど、心の不健康に悩まされている方                              ◆デジタルデトックスをしたい方                        ◆SNS疲れをしている方                                ◆子育て真っ最中の親御さん(我が子とガジェット機器との付き合い方を考えている方)

ではいつものように結論から。


【結論】

私達の脳は今でもサバンナの中で生きている。わずかな期間で急速にデジタル社会となった現代で、私達の脳は適応できていない。それが不眠・うつの増加や幸福度の低下、心の不健康を招いてしまっている。そしてそれは特に若者において顕著である。

SNSは我々の脳のドーパミン(報酬系システム)をハッキングすることに成功し、スマホに釘付けになるよう巧妙につくられている。それが彼らぷらっとフォーマーの利益になるからだ。SNSによりナルシストになり、他者と比較して自信をなくし、睡眠時間を奪い、子どもの知能を低下させ、コミュニケーション能力を低下させている。

大事なのはスマホとは少し距離を置き、付き合い方を見直すことである。そして運動が最も有効な処方箋である。運動を通じて記憶力、集中力、睡眠力、自信をつけ、心を健康にしていくことは可能である。


以上です。結論の流れに沿って、以下3つの構成で解説していきます。

1.私達の脳は生物学的に、未だサバンナの中で生きている                     2.SNSは我々の脳の報酬系システムをハッキングしている                   3.デジタルデトックスと運動が最もよい処方箋である


【1.私達の脳は生物学的に、未だサバンナの中で生きている】

著者のアンデシュ・ハンセン氏は、「人類の進化の見地」からスマホが現代社会に与える影響を考察しています。

この本の出発点はズバリこうです。

良い暮らしができるようになったのにむしろ不健康になるなんて、一体どういうわけだろうか?

なるほど!ここで不健康ぶりな事実を列挙してみます。

◆大人は1日に4時間ほどスマホを触っている                  ◆世界中で肥満と2型糖尿病が爆発的に増えた                           ◆スウェーデンでは16歳以上の100万人近くが抗うつ剤の処方を受けている。これは大人の9人に1人である。                       ◆15~24歳で睡眠障害の診断を受けた若者の数は2007年から5倍に増えた


1万年前、子どもの半数が10歳になるまでに死んでいた時代にはなかったことです。進化の過程から考えると、脳は生物学的に1万年前とほとんど変わっていません。それなのに現代のデジタル社会は変化が激しすぎて、私達の持つ脳の仕組みとのミスマッチが大きくなっています。これにより様々な体調や心の不健康を呼び起こすとか。一つの例を以下に示しましょう。


・ストレスは生存のために備えられた機能の一つ

強いストレスにさらされるとうつになる、と聞いたことはないでしょうか?ストレスは悪いイメージが強いと思いますが、実は長い年月をかけて人類に備わった機能の一つです。

例えばライオンに遭遇したら。恐ろしいですね。昔は猛獣に襲われて殺された例など数知れません。その時に人は「闘争か逃走か」しか道はなく、両方においてストレスホルモンが分泌されます。

これは筋肉に大量の血液が送られ、拍動が速くなり、強くなります。つまりストレスにさらされることで、戦闘力が上がったり逃げ足が速くなったりして、生存の可能性が高まるわけですね!

1万年前のサバンナの時代であれば、このストレスは人類を生存のために有効に働き、かつ必要なことでした。ところが現代は・・・?

フェイスブックで「いいね」がつかない、高額な住宅ローンを心配する、気になる女の子にメールを送っても返信がない、といったことでストレスのシステムが働きます。現代ではそのストレスが長時間続くことが多く、脳は闘うか逃げるか以外のことをすべて放棄してしまうといいます。

睡眠? 後回しでいいだろう! 食べる? 後回しでいいだろう!といった具合に。

これによってうつ状態になり、意欲低下や不眠や食欲低下、性欲低下、お腹が痛くなって吐き気がするなどの不調となって現れるということです。


以上「ストレス」を例に脳は現代のデジタル社会に適応できておらず、それによって様々な心身の不調が引き起こされていることを解説してみました。次はスマホやSNSの恐るべき側面について綴っていきたいと思います!


【2.SNSは我々の脳の報酬系システムをハッキングしている】


皆様はネットサーフィンを気がついたら1時間も2時間もしてしまった経験はありませんか?私は結構あって、時間をかなり浪費してしまいます。次から次へとクリックをして新しいサイトを閲覧し、クリック中毒者になってしまう。

これも、脳の報酬系システムに仕業なんだそうです。ここでのキーワードは「ドーパミン」です。ドーパミンは以下の特徴があります。

①ドーパミンの最も重要な役目は、何に集中するかを選択させること     ②ドーパミンは新しい情報を探そうとする本能を与えた                  ③ドーパミンは不確かな結果を偏愛する

① インスタやフェイスブックやツイッターなどのSNSで「いいね」の通知に反応し、スマホの誘惑に抗うことがとてもむずかしい。

② ネット上でそのサイトにとどまっているのはわずかに4秒。目新しいものを求める性質のおかげで、私達は次から次へと次のページに飛んで、クリック中毒となる。

③ ソシャゲーにおけるガチャ。ハズレとアタリのランダム性がドーパミンを分泌させ、気づけば課金をしてしまい、大いに無駄遣いをしてしまう。


スマホをつくった人たちはこの脳のドーパミンの仕組みをよく理解し、スマホを設計しています。すなわちドーパミンをしてスマホに注目させるように仕掛けているのです。結果的に私達は10分に1回はスマホを開き、2600回も1日にスマホを触っています。

スマホが四六時中こう叫んでいます!「おい!俺を見てくれ!触ってくれ!」と。1日に300回以上もドーパミン注射を私達は打たれており、こうしてスマホ中毒となってしまうのです。その弊害は深刻です。

◆特に若者=ティーンエージャーはスマホ中毒のリスクが高い。     ◆自制心が効かなくなる(衝動的になりやすく、短絡的な目先の快楽に弱くなる傾向が強い。要するに我慢できなくなる。)            ◆特に女子はSNSで他者と比較して自身の容姿について自己評価が低くなり、自信を喪失する                        ◆SNSでの投稿は自分語りが大半で、それが報酬系システムのスイッチを押す。よってナルシストとなり、他者共感能力などが下がる。       ◆睡眠時間を奪う                          ◆ググればすぐに答えが出てきてしまうため、自分の頭で考えるという思考力が低下してしまう。                       ◆SNSは人生の満足度を下げる傾向がある。

こんなスマホやSNSの弊害を骨の髄まで知っていたのでしょう。スティーブ・ジョブズなどの名だたるIT企業のトップは、自身の子どもたちにスマホやipadを与えない、または使用時間を厳しく制限していたとか!

かようにして恐ろしいスマホの悪影響。私達の脳はスマホやSNSによってハッキングされ、支配されています。ではどのようにスマホと付き合い、この不健康な状態を改善していけばよいのかを最後に綴っていきたいと思います。


【3.デジタルデトックスと運動が最もよい処方箋である】


筆者の答えは以下です。

睡眠を優先し、身体をよく動かし、社会的な関係をつくり、適度なストレスに自分をさらし、スマホを制限すること。

うん、これがすべてだな、と思ったものです。

どんな運動でもストレス解消となり、こころの自然治癒力を高めてくれます。特に有酸素運動、少しきつめの運動がよいみたいです。

SNSの付き合い方も極力PCのみで利用し、スマホからはアンイストールすることをすすめています。


本来人が人とつながることは、人生の満足度を上げる行為だと考えます。私もフェイスブックのおかげで、何十年と会っていなかった友人と再会できたり、もう2度会えないだろうと思っていた人とつながることができました。

SNSの最もよいことは、「リアルに人に会う」ための素晴らしいツールだということです。孤独は早死にするという研究結果があることは有名です。良好な人付き合いが寿命を長引かせ、人生の幸福度をあげてくれます。

1日に3時間も4時間もスマホに熱中していたら、この機会は失われます。つまりスマホとの距離を見つめ直すことが大事ですね。まずはどのくらい自分はスマホに時間を取られているのか、そこから知るとよいでしょう。

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Digitoxというアプリはどのアプリにどのくらいの時間費やしたのか、というのを教えてくれます。上の画像はある日の私のスマホタッチ時間です。ゲームが一番多い・・・。完全に時間泥棒ですね(汗)次に多いのはYoutubeです。(私の場合は運転中にブルートゥースで視聴しています)


もう一つ実践しているのが、Noteに記事を書く、といった生産的な時間を使うときは、スマホを別の部屋に置くこと!これは個人的にはかなり効果が高く、集中力が高いまま作業ができました。勉強するとき、読書をするときも、スマホは目の届かないところに置くとよいでしょうね。

スマホに人生を奪われないように、スマホによって心身の不健康を招かないように、うまく距離をとって付き合っていきたいものです。今回の記事が参考になりましたら嬉しく思います。全部は当然紹介しきれていないので、興味がわきましたらぜひ本書を手にとって読んでみてください。本日も読んでいただき、ありがとうございました!

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