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「とぅばらーま」について調べてみた。多分、世界一まとまってる。

石垣島に興味を持ち、いろいろ調べているうちに、「とぅばらーま」という民謡にたどり着いた。知りたいことがまとまったサイトが見つからなかったので、自分でまとめておく。

とりあえず、辞書的な情報から。

「トゥバラマ」とは、女性が愛しい男性を意味する言葉で、男性は女性を「カヌシャマ」とよびます。

日本の祭りネットワーク

で、その「とぅばらーま」がタイトルになっている歌とは。

とぅばらーま
読み方:とぅばらーま
八重山民謡中でも最高峰といわれる名曲シンプルな曲の中に故郷へ思い男女愛情などを込めて切々と歌われる毎年旧暦8月13日石垣島行われる「とぅばらーま大会」は単独曲の民謡大会として最も有名。

Weblio 辞書 > 方言 > 沖縄大百科

ここで言われている「とぅばらーま大会」の今年の様子は、下の動画で丸ごと見ることができる。

この大会の本編は石垣市民会館前で行われているみたいだけど、前の日に市民会館の2.3km東にある「なかどぅ道ぬとぅばらーま歌碑広場」で、前夜祭が行われている。

この広場の石碑に、歌詞が書いてある。

なかどう道から
ななけえら
かようけ
仲筋かぬしゃま
そうだんぬ
ならぬ

島色、無限大

その歌詞の意味は、

1814年頃、真栄里村の「嘉那志」と言う評判の小町娘を恋人にしようと士族の青年達が競いはじめた。
士族の青年「とぅばらーま・殿原・殿方」達は幾夜も幾月も通い続けるが、一度も逢えない無念さとやるせない失恋の炎を胸中にたぎらせ足を引きずり帰る時、遂に我を忘れ誰かが即興で謡い出したと伝えられている。

島色、無限大

お隣竹富島発の、「安里屋ユンタ(アサドヤユンタ)」も美女に振られる男の歌やったな。

で、この石碑の歌詞、具体的な地名とかが出てるし、美女の正体も明らかになっているみたいだから、この男が通ったルートがわかりそう。

ナカドー道とは、仲道給油所(字登野城六五五番地の五)あたりから国道三九〇号線を東へ進み、真栄里集落に至る道をいい、古くから宿道(番所と番所を結ぶ道)として利用されていた。

石垣市

というのをもとに調べると、

こんな感じで、だいたい2km前後の距離ね。アップダウンもないし、歩いて30分くらい。歌詞の中には、「想って通えば千里(39km)も一里(3.9km)」(勝手に意訳した)みたいなのもあったから、千里という言葉が慣用的表現だとしても、盛りすぎやな。そもそも一里もないやん。往復でやっと一里やん。ちなみに、真栄里は「まえざと(めーざとう)」と読む。

まぁ、そんなお茶目な歌詞なんだけど、いざこの歌詞で聞いてみようと思っても、なかなか見つけることができない。「とぅばらーま大会」でも、各人が思い思いの歌詞で歌っているから、石碑の歌詞で聞くことはできない。

とぅばらーまを調べていたら、よく名前をお見掛けする方々が共演してる珍しそうな映像を見たけど、やっぱりこの映像でも「なかどう道から~」の歌詞を聴くことはできなかった。

歌が洗練される過程で、「何回アタックしても、ぜんぜん相手にされません」みたいな愛嬌たっぷりな歌詞が合わなくなってきたのかも。その代わり、

月と太陽とは同じ道お通りになる あなたの心も同じ道(で)あってください

たるーの島唄まじめな研究

みたいなカッコいい歌詞は、好んで歌われている感じがする。歌われるときは、「太陽」を「ティダ」と発音するから、「ツキト、ティダトヤ」みたいな歌い出しね。この歌詞にはよく出会う。

あと、「野とぅばらーま(のとぅばらーま)」と呼ばれるものがある。

「野とぅばらーま」といって野良仕事の帰りにアカペラで歌われていた時代もあります。名人とされる人が遠くで歌うと、別の方角から「ツィンダーサーヨー」と囃子が返ってきて…。 

八重山ブログライターズ

これがカッコいい。例えば、こういう動画がある。

何と言っているのかは全然わからないけど、めちゃくちゃカッコいい。合いの手みたいな「ツィンダー」って、こういう時は周りのみんなで言うもんだと思ってたけど、この場合も歌い手のみなのね。

で、この「ツィンダサーヨ ツィンダーサー」なんだけど、これを説明してくれてるサイトがない。「さのよいよい」みたいな特に意味のないものなんだと思うけど、そういう説明もされてないから、なんかもやっとする。

つんだら節の説明で、

つんだら節が正確には「つぃんだら ぶすぃ」と発音され、つぃんだらの意味も「かわいい」と「かわいそう」という2つの意味があること。

やいまタイム

というのを見つけた。音が似てるから、ルーツは一緒のような気がするけど、どうかな。「ツィンダーサーヨー マクトゥニ」というパターンもあって、この「マクトゥニ」は「誠に」「ほんとに」みたいな意味かな。

「ナカドー道から、七回も通ったのに」
「かわいそうに、かわいそうに」
「仲筋のあの子は顔も見せてくれない」
「ほんとに、かわいそう」
みたいな掛け合いになるのかな。

最後に、石碑の歌詞で歌っているとぅばらーまの動画で締めておく。




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