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流行りの”ワーケーション”に挑戦する前にまずは農業体験をしてみてほしい話

はじめまして。
福井県勝山市で農家の跡取りをしています、本多といいます。
平日は会社員、
夜や休日、農繁期は実家の農作業を手伝うごく一般的な農家の跡取り息子です。

今日はそんな半分農家の私が、今流行りの『ワーケーション』に注目し、どうしたらワーク(仕事)とバケーション(休暇)を楽しく過ごせるかを考えたいと思います。

福井県勝山市で農作業って何やってるの?

実家では基本的に稲作がメインです。
その他に、麦、大豆、里芋、蕎麦、野菜などを栽培しています。
今回注目したのは今最盛期を迎えている”里芋”です。

福井県の奥越地域(勝山市と大野市)では10月から名産の『里芋』の収穫、出荷が始まり、11月にピークを迎えます。
特に大野市上庄地区で収穫される『上庄里芋』は一大ブランド品。
”日本一取引価格の高いサトイモ”だなんて言われるほど人気の商品なんです。

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私の住む勝山市も、その上庄地区と土壌や気候が似ているのでおいしいサトイモ(奥越サトイモ、勝ち山さといも と呼ばれます)を育てており、味に差はないのに安価で手に入るのでオススメです。

秋晴れの日には「さぁやるぞ!」と家族全員心して収穫作業に臨みます。
作業は重労働、出荷までにはいくつも行程があり、機械化も完全に進んでいないので手作業がまだまだ多く、10月から12月ごろまで、人手が必要になります。

そもそも『ワーケーション』って何?

ワーケーションとは、ワーク(Work、仕事)とバケーション(Vacation、休暇)を組み合わせた造語。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下 新型コロナ)の感染拡大によって認知が高まった新しい働き方で、休暇と併用して旅先でも仕事をするワーケーションが特に注目されているそうです。

密を避け、テレワークやリモート会議が普及した昨今、
都心のオフィスに毎日出勤するのではなく、見晴らしの良く空気の澄んだ人の少ない旅先で、ワーケーションをしたい、してみたいと興味を持っているが多いそうです。
中には20代、30代では半数近くが「ワーケーションをしたい」と回答したアンケート結果もありました。

なんでそんなに注目されているの?

以下の記事では4つの側面からの期待があると記されています。

①制度を導入する企業 ②ワーケーションを利用する社員 ③ワーケーションを受入れる地域とその行政 そして④ワーケーションに関連した民間事業者 の大きく4つに分けることができ、それぞれの立ち位置から様々な期待が寄せられています

働き方改革によって年休をちゃんと取得してほしい企業側にとっても、
休みづらい社員や副業やボランティア活動に精を出したい社員側にとってもメリットがあるといえ、
それを受け入れる側の地域には、交流人口の増加と新たな経済活動が期待されるのです。

私は福井という地方で働いているので、
③の「ワーケーションを受け入れる地域」としての側面から
・2拠点生活による短中期の移住・交流の促進
・関係人口の創出・増加

などを期待している立場になりますね。

ワーケーションをしたい人、したくない人

そんなコロナ禍によって注目され導入が進んだワーケーションですが、年代によって様々な意見が出ていました。
ワーケーション「したい」と回答した人によると、
・リフレッシュできそうだから
・少ない有給日数で旅先に長期滞在できるから
・ストレスが軽減できそうだから
等の理由が挙げられました。
一方「したくない」と回答した人によると、
・仕事とプライベートの切り分けが難しそう
・旅先でまで仕事をしたくないから
・旅先で就業できる仕事内容ではないから
が挙げられました。

確かにワーケーションができる職種は限られているかもしれませんし、休憩時間や夜遅くになっても仕事の連絡が来る可能性もあるでしょう。

私の妻もフリーランスとして活躍する一人で、福井にいながら東京の方たちと一緒にバリバリと仕事をするテレワーカー。
一緒にお出かけしたりデートしに行っても、スキマ時間があればラップトップを開いて仕事をしたり、スマホで他の人間に指示を出したりなど「完全にOFF」となっている時間は少なかった記憶があります。
何と言っても結婚式のお色直しの最中にまでPCを開いて作業していて人ですから(笑)これはもう職業病だなとあきらめました(笑)。

旅先で仕事、あなたは何がしたい?

その日の天気や温度、住環境によって仕事効率が変わってくるでしょう。
慣れないデスクやチェアによっては仕事が進まなくなってしまうかもしれません。
その時には自分が「ワーケーションによって何を達成したいか」を考え直してみてください。
・新しいアイデアを生み出したい
・静かな環境で淡々と作業したい
・家族と旅行サービスしながら、ちょっとの時間を会議したい
などなど。
ワーケーション一つとっても、その仕事の中身は様々です。
自分の行いたい仕事の目的やスタイルに合わせて、ワーケーション先を考えてみるといいのではないでしょうか

アイデア重視の人にはぜひ「農作業体験」を

ここからが今回伝えたかったコト。
普段とは違う環境で、違う空気に囲まれて、珍しいモノを食べながら新しい考え方やアイデアを生み出したいと思っている方に向けて伝えます。
ワーケーション先では様々な体験プログラムを実施している自治体があると思いますが、今回オススメしたいのは農作業体験です。
なぜオススメしたいかというと

肉体労働は頭を使う必要がない

からです。
誤解を与えてしまうと悪いので丁寧に言いますと、
単純作業で人手が必要な農作業時は頭を使う必要がない、ということです。
じゃあ具体的にはどんなことかといいますと、
ウチの里芋収穫を例にすれば

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畑から収穫した里芋を1個1個にばらしたり

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里芋の根っこのヒゲみたいな部分を切ったり
ただただ「手を動かす」という時間が存在します。
この時間になにが起こっているか、そう

インプットが何もない

のです。
ただただ機械が動く音と手を動かす中で頭の中が徐々に整理され、すっきりしていきます。
すると、頭のなかでその日の出来事や今からやらなくてはいけないこと、宙に浮いていた事業アイデアなどがどんどん頭の中にポコポコと浮かんでくるのです。
「これはすごい」と感心して私は夜な夜な里芋の出荷作業を手伝いながらスピーチのネタやツイートの文言などを考えています。

これの何がすごいかって
農作業報酬をもらいながらその後の仕事の準備が進められるんですよ。
農作業が終わって「さあ次の仕事やるか」となったら準備はOK、とりかかりスタートGO、みたいな状態ですね。

これを実践していた著名な方と言えば漫画家の荒川弘さん。
「鋼の錬金術師」や「銀の匙」で有名な荒川先生ですがご実家は北海道の酪農農家。
農作業を手伝いながら寝る間を惜しんでデビュー作の漫画を執筆していたそうで、その際にこの「肉体労働中に頭の中で別の仕事をする」を実践していたそうです(『百姓貴族』3巻をみてね)。

農作業は「4つのB」に通じるものがある

多くの方は知っているかもしれませんが、
アイデアが生まれやすい4つのBというのがあります。

・Bathroom(トイレ、入浴中)
・Bus(バス、移動中)
・Bed(ベッド、就寝中)
・Bar(バー、居酒屋など)
の4つのことを指しているそうです。(引用

皆さんも移動中や就寝前などぼーっとした時間に、
ふとアイデアや明日やらなくてはいけないことが思いついた経験はありませんか?おそらくその時に、
テレビを見ていたり
スマホを触っていたり
聞き流す学習法などをしていたりしたら、
そんなアイデアは浮かんでこなかったのではないでしょうか。
つまり

アイデアを生み出すにはノーインプットの時間が大事

であるということを理解していただき、
かつ4つのBのなかに、
新たに農作業(Agriculture)をぜひ導入してみてはいかがでしょうか。

もしワーケーションを検討している方がいたら、農作業体験も選択肢の一つに入れてみてください。

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