ごくまれに、会話っぽい
ベランダで洗濯物を干していた。
うっかり娘の服を落としてしまった。
あいにく、鉢植えの水が流れてきていたところに落としてしまい、洗い直し確定。
「あ〜」と小さく叫んですぐに拾い上げ、部屋の中に持って入る。
僕の声が聞こえたらしく、娘が、
「どうしたの?」
と聞いてきた。めずらしく的確な聞き方だったので、このひと言だけでもちょっと、ハッとする。
「ごめん、きみの服、落としちゃった。」
と僕があやまると、娘は間髪いれずに、
「洗ってね」
「うん、ごめんね。パパもう一回洗うね〜。」
と、ここだけ切り取ると、ふつうに父親と小4の娘の会話っぽくて、うれしい。
なんてことない会話だけど、これをするには、娘が、
① まず、周囲のことにちゃんと関心を持っていて、
② つぎに、何があったのかを自分から尋ねて、
③ しかも、落とした洗濯物は洗い直しだと理解していて、
④ その理解を踏まえて、「洗い直してほしい」っていう気持ちを言葉にして相手に伝えないといけない。
なんて、はてしなく難しいんだろう!
こういう会話が一回でもできるということは、やろうと思えば常にできるんじゃないかと思いたくなるけど、実際にはほぼすべて、
「◯◯くんが、△△って、ゆってた?」
という例のパターンの発話。
それに、どんなに独特のパターンでも、こちらが知りたい内容が含まれていればまだいいけど、質問されたことに的確に答えることはまずない。
今日みたいなふつうな感じの会話が成り立つのは、数日に一度だと思う。
貴重な瞬間を味わえて、とてもうれしい。
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