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原作未読でも最高にハマるアニメ!『BANANA FISH』とは

今この瞬間にも叫び出してしまいたいほどにわたしが好きなもの、それはアニメ「BANANA FISH」だ。

だが、わたしは現在進行系でハマっているものに対して、自分が感じている魅力や好きな気持ちを語るのは苦手だ。理由は冷静に説明する自信がないから。

普段は存在をあまり意識していないけど、気が向いた時に見たり使ったりできる程度の距離を持てているときなら全盛期よりも冷静なので、情熱に名前や意味を与えることができて、説明できる。
しかし夢中真っ最中の自分は冷静ではない。
そんな状況で正しく魅力が語れるかァ!というのがわたしの主張である。

そんな感じでこれまでは感情の全てにカタがついてから「実は好きだったんだよね……」という告白をしてきたが、今日は現在進行系の情熱に真っ向から挑んでみようと思う。

まったく冷静ではないので、少々頭がおかしいと思うかも知れないが、お付き合いいただこう。

(画像:公式HPより拝借)

「BANANA FISH」の原作は漫画で、20年以上前に小学館のフラワーコミックスで連載されていた。舞台は1980年代のアメリカ。主人公はマフィアに喧嘩を売るストリートギャングのボスで、登場人物はほぼ男しか出てこないというハードボイルドな世界観をもつ。

作者は女性だが、絵のタッチも世界観に合わせた骨太な線で物語の9割を占める戦闘シーンを描いている。そのため、当時は普段少女漫画を読まない層からも支持され、一斉を風靡していた名作……らしい。

というのも、わたしは漫画を読んだことがなく、アニメしか知らない。しかもアニメはまだ放送中で、物語は前半のヤマをこえ、ちょうど折り返し地点だから、結末も知らないのだ。

原作ファンにはわたしよりコアでデープな御仁が多いだろうし、アニメでハマったら原作の漫画も読みたくなるのが普通だろうと思う。わたしもこれまでなら絶対に漫画を大人買いして読んでいたと思うが、今回はアニメが終わるまでは、漫画を読まないことにした。

今日はその理由と、アニメ「BANANA FISH」がやばいということを説明したいと思う。

まず最初に導入として簡単にあらすじを説明する。なお原作では1980年代を舞台にしているが、アニメでは現代を舞台に置き換えている。

主人公は2人。

1人目の主人公、17歳の少年アッシュは類まれな容姿と頭脳、驚異的な戦闘能力によってニューヨークのダウンタウンでストリートギャングのボスに君臨している。一方で幼少から唯一の心の支えであった兄はイラク戦争に従軍後、薬物中毒による廃人同然の状態で帰還したため、ひっそりと面倒をみている。

2人目の主人公、19歳の日本人の大学生 英二はカメラマン助手として渡米した際、取材を通じてアッシュと出会う。

2人はアッシュの兄を廃人にした薬物と真相を追ううちに、薬物を取り巻くマフィアとの抗争や政治的な陰謀に巻き込まれていく。

……あらすじの時点でやばい。ハリウッド映画の陰謀モノっぽい。ワクワクしかしない。

ハリウッド映画らしさを象徴しているのが、第1話冒頭のシーンだ。

アッシュの兄が、従軍するイラク戦争で薬物に冒されて仲間を銃殺するが、別の仲間に両足を撃たれ取り押さえられる。そのとき「バナナ・フィッシュ」とつぶやく。

そこから一気に現代のニューヨークの路地裏へ。そこでは主人公アッシュが何者かに銃撃された男の死に際、「バナナ・フィッシュ」という謎の言葉と白い粉が入ったロケットを受け取る、その言葉は廃人になった兄がうわ言でつぶやく言葉だった……という流れ。

……これは映画か?かっこよすぎるだろ!(心の叫び)

わたしの言葉ではかっこよさの半分も伝わらないので、ぜひ映像で観てほしい。(アマゾンプライムで絶賛配信中だ)

さらにかっこいいのが、各話のサブタイトル。すべてアメリカ文学から拝借している。

第一話は「バナナ・フィッシュにうってつけの日」。元ネタは小説家サリンジャーが1953年に発表した短編集のタイトルだ。小説の内容が直接的に関連するわけではないが、アニメ各話の内容にタイトルがかっちりハマっている。

しかもサブタイトルが出るのは各話の最後、EDが始まる直前なので、見終わったあとの衝撃にさらに追い打ちをかけられる。その衝撃をEDを聞きながら噛みしめるわけだが、このEDも回を重ねるごとに重みを増して、主人公や作品に思いを馳せる読後感ならず鑑賞後感がやばい。ちょっと意味がわからないと思うので、とにかく是非観てほしい。(しつこいようだがアマゾンプライムで絶賛配信中だ)

なお原作にはサブタイトルはないので、アニメオリジナルだ。これを考案したというシリーズ構成を担当された脚本家 瀬古浩司氏には賞賛の拍手を贈りたい。

脚本の瀬古氏をはじめとしたアニメ制作陣の情熱はなにもサブタイトルだけではない。語りだすとキリがないが、わかりやすく愛を感じるのは「作画崩壊がない」ということ。

アニメは基本的にキャラクターデザインの担当者がいて、担当者のデザインを元に多くの作画スタッフが何百枚も絵を書いてアニメーションになる。(もちろん作画だけではアニメは作れない)

それ故に実際に放映されるアニメーションでキャラクターや背景を含む作画があまりにも大元のデザインからかけ離れてしまう「作画崩壊」現象がほぼ100%おきる。(個人の統計だ)

悲しいことに、OPとED映像以外は他のアニメか?と突っ込みたくなる回がある作品もたまにあるのだ。

しかし、「BANANA FISH」においてはほぼそれがない。

これはひとえに、スタッフが原作漫画を含め作品を愛し、魅力を現代に伝えようとしているからだろう。原作を読んでいないわたしでもこの情熱はひしひしと感じる。そしてそれほどに愛される作品とはいったい……とついつい漫画に手を伸ばしたくなるのだ。

そして誘われるようにネット通販でポチし、めでたく我が家に届いたのだが、冒頭でも述べたように、まだ読んでいない。

わたしは何かを好きなると、すぐさま対象にまつわるありとあらゆる情報を集めて分析したりするオタク気質なので、例外なく「BANANA FISH」に関しても情報収集をした。アニメ制作陣のインタビューもほとんど目を通したし、ネタバレ覚悟でネットにあふれる原作からのファンのコメントも読み漁った。

だが、ウィキペディアを除きまったくネタバレがない。もちろん、「ネタバレあり」と記載して未然に防ぐ予防線は他の作品でも見られるが、「BANANA FISH」に関してはなんというか、進んで結末を知らせないようにする雰囲気がある。

さらにいえば、原作ファンたちからアニメに対するバッシングもまったくない。時代背景を現代へ大きく寄せたことも見方によっては、原作ファンにとって面白くないと感じさせる要因だと勝手に思っていたのだが、そうではなかった。時代背景の件も含めて、アニメを推す声が圧倒的に多い。

この傾向を、原作漫画で得た読後感や感動をアニメでも味わってほしいというBANANA FISHベテラン層の意思表示だとわたしは受け取った。

これはきっと時代を超えて語られる古典文学のような真理がそこにあるに違いない……とちょっと行き過ぎた解釈をひそかにしている。(重い)

この偏見的な解釈が正しいのかどうかも含め、どんなカタルシスが待っているのか、最終回を迎える頃にはわかるはずだ。

だから今我が家でダンボールに入ったままの復刻版単行本はアニメを見終わってから読もうと思う。実は一度好奇心に負けて、包まれたビニールを開けてしまったがまだ中は見ていない。まだセーフだ。うん。

こうして自宅で存在感を放つ黄色い誘惑から注意をそらすべく、アニメの魅力をさらに語ると、劇中サントラがオシャレでやばい、そのおかげで映像がさらにスタイリッシュでになってやばい、単行本19巻を25話にまとめる無茶な構成なのにその展開の早さを逆手にとっていいスピード感を出していてやばいとかまぁ本当にきりがない、とにかくアニメ「BANANA FISH」は最高にやばい。(最高に語彙力がない)

まだ放送中だからこれから観てもきっと面白いと思う。いや絶対に面白いはずだ。

ほんとうにしつこいが先週分まで配信されているアマゾンプライム以外にもBlu-ray Disc BOXとDVD BOX vol.1が昨日(10月24日)に発売された。

そんな時間ねぇよっという人は公式が12話までまとめた4分程度のダイジェスト動画が2本あるので8分でそれを観て公式HPを斜め読みすれば後半戦が楽しめる。

ちなみに最新の16話は今日(10月25日)24:55からフジテレビで放送される。

かく言うわたしもぶっちゃけると好きになって1週間位なのだ。

このスピード感で夢中にさせるアニメ「BANANA FISH」、やっぱりヤバイ。

編集:円(えん)

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