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料理はこころの栄養


料理は嫌いではないが、特別好きでもない。

必要に迫られればするし、そうでなければしない。作りたいと思えば作るし、気分が乗らなければ作らない。気分が乗らなかった結果、ここ1年は料理を2回くらいしかしていない。

今年の夏にコロナ感染者の濃厚接触者疑惑で2週間ほどテレワークとなり家に缶詰になっていたとき、茄子の煮びたしを作った。まさに1年ぶりの鍋の取っ手を握った感触に、驚いた。

久しぶりに自分で作ったご飯は、おいしかった。自分が好きな味は自分が一番よくわかっている。その後も数回鍋を使ったが、全て茄子の煮びたしを作って食べた。馬鹿の一つ覚えととはこのことか。

 

そんな生活を見かねた、仲良くしてくれる管理栄養士の友人がご飯を作ってくれることがある。木曜日あたりに翌日の予定を聞かれて、「時間があればご飯食べにおいで」と優しく言ってくれるので、お言葉に大いに甘えてお宅にお邪魔している。さすが管理栄養士、栄養バランスはもちろん、お酒にも合うように作ってくれる。日本酒でもビールでも、焼酎でも。紹興酒でも。なんでも来い。なにより手作りのご飯はおいしい。たぶんきっとわたしのことを考えて作ってくれている部分もあると思うので、なんだかこそばゆいが嬉しいし、ありがたい。

 

緩い雰囲気で東京での衣食住を満喫?していたところ、およそ2年ぶりに実家に帰省できた。これまでは半年に1回は必ず家族に顔を見せていたが、コロナと日々の生活に忙殺され、気が付けば時が流れていた。

例年のように地元の友達と飲み歩くことはなく、家で父と母と静かに過ごした。

母は料理が上手だ。家族全員真剣にそう思っている。父の話では結婚した当初はパスタしか作れなかったらしいが、今では何でも作ってくれる。特に日本食がとても美味しい。

だらだら過ごす娘に旨いものをたべさせようと、たくさん料理を作ってくれる。食べすぎて東京にもどる頃は「帰ってきたころに比べてえらい太ったね!」と空港で騒がれるのだが、今回も例にもれず同じ言葉で見送られた。

 

帰省から戻って数週間経つが、相も変わらず料理をしていない。

これからも優しい友人の手料理を食べ、母のご飯に思いを馳せ、時々必要に駆られて茄子の煮びたしを作るのだろう。

あぁでも、そろそろ冬が来るから、大根の煮物とかの方がいいかもしれない。

編集:べみん


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