好きの発展途上
好きなものに点数をつけると、とたんに嫌いになってしまう。
そんなときが誰にでもあるのではないだろうか。
小学生のときのことだ。特に好んでやっていたのは、絵を描いて、それに合う詩をつけること。時間を忘れて絵描きに励んでいた。そのうち、友達にとても絵がうまい子が出てきて、いつの間にかやめてしまった。
上級な作品をみているのが楽しかったというのもあるが、何より傍観者は楽だった。
点数をつけられることも、比較されることもない。惨めで悔しい思いをしなくていい、心穏やかだ。
でも実際は自分が勝手に自分をヘタクソだと判断していただけだった。
そんな自分をふりかえって思うのは、
思いどおりに結果が出なかったからやめてしまう、
果たしてそれは本当に好きといえるだろうか?
いや、そもそも好き以前の問題だ。
その段階はまだ好きの発展途上にすぎない。
躓いてやめてしまったくらいでは、楽しさは半分も理解できていないからだ。
吸いも甘いも経てこそ、満を持して好きと言えるのだ。
それを理解してないうちに、なんだかんだと自分やときには周りがつけた点数を気にするのはとんでもなくもったいないことだ。
うまくかけると、どこまでも登っていけそうな万能感を覚える。
そんな単純かつ素晴らしい感性を、一度や二度躓いたくらいで諦めて無に返してしまうのは惜しいじゃないか。
絵を描いていたことを思い出すたび、当時のわたしに「簡単に諦めるな」と言われている気がする。
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