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決して姉の一方通行ではない

どうやら、10万円がもらえるらしい。
推しのATMになりたくて転職したわたしに金があれば、推し声優にごっそり投入するのは間違いない。しかし、推し課金については前回の日刊かきあつめの記事で語ったばかりだ。




とはいえ今回の日刊かきあつめのテーマは『#10万円の使い道』。
推し活と酒以外にお金の使いどころがないわたしは、どうしたものか…他に推しいたっけな…と思いを巡らせた。

そうだ、もう1人いた。
何を隠そう、それは弟である。

3歳の年が離れた弟とはそれなりに仲が良い。互いに東京で一人暮らし中だが、月に1回は遊びに行く。2ヶ月に1回は互いの家に泊まる。会わない期間が続くと、電話で近況を報告しあったりする。

20代後半に差し掛かった姉弟2人で何をして遊んでいるかといえば、映画をみて、買い物をして、酒を飲んで、帰宅してまた映画を見ながら酒を飲んでいる。出かけたときのお金はわたしが奢ることもたまにあるが、大抵は割り勘だ。

そんな弟はとても無口だ。会話をしているとき、ほとんどはわたしが話している。
最近あった嬉しいことを話すと、「ふうん、そっかよかったやん」と少しだけ笑いながら相槌を打ってくれる。わたしは嬉しくなって、もっと話しかける。あんまり喋りすぎると、弟は「うん、うん」か「おう」しか言わなくなるので、注意しなければいけない。

弟は自分のことを進んで話し出すことはあまりない。だからわたしは自分のことを話し終えると、弟に話しを振る。言葉少なに自分の気持ちを話し始める弟をみていると、大きくなったんだな……となんだか嬉しくなるので、ついたくさん質問してしまう。そんな姉心を知ってかしらずか、弟は常にクールな姉対応をしている。

決して姉の一方通行ではない……はずだ。

思い起こせば、わたしがフリーランスのときは飲み代を弟が多く出してくれることが多かった。たぶん弟なりの気遣いがあったのだろうと思う。

しかし弟に助けられっぱなしなのはかっこ悪いな…という微妙な姉心が働いて、ここいらでちょっくら借りを返しておこうか。という訳だ。まぁ自分で稼いだお金じゃないのだけど。


今回も原稿に取り掛かる前に弟へ電話で「10万円あったら何に使いたい?」と問いかけてみると「バイクの維持費と食費に消えるよ」と感慨もなく言っていた。「でも10万円で買い物って案外難しいね」と笑っていた。2ヶ月ぶりの電話で、世情的にも他人と会話することが少ないせいもあるのか、「記事のネタを探しているんだ」と伝えるとそれなりに真剣に使い道を考えてくれた。ねぇさんは嬉しい。

2人で考えついた案はありきたりで、飲食店を応援するというものだったけど、そのうちのいくらかはやっぱりおまえと一緒に食べるものに使おうと思ったよ。

10万円をきっかけに奢ってやるなんて言った日には、あれもこれもバイクの部品も買ってくれと言い出しそうな、ちゃっかりしたところもある弟だが、優しくてチョロいねぇさんはまぁ多少やぶさかではない。

(この愛、一方通行ではない、きっと)

編集:香山由奈
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