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たまには

本職というか、日蓮宗のお坊さんとして読むべき本はこれかな?

本書は、正に法華経をどう読むか?を考える場合重要な視点を持っている。

従来、法華経をよって立つ我々日蓮宗は、思想的には中国の天台大師によっている。また、近代仏教学的には、大乗仏教は、どちからというと超人間的ブッダを考えていると捉えられている。

しかし、本書は、近代仏教学「釈迦の仏教」の属性の上に、法華経のブッダを位置づけている。

本書で特に重要なのは、4章の「『法華経』の人間主義」である。釈迦の神格化から三十二相をつくりだし、そこから天台の三身論「報身」が生みだされている。ここが著者的に無理があると考えている。

久遠実成は従来、報身すなわち有始無終と捉えてきたが、ここでは釈迦が名前を変えて種々の国土に出現したと捉えている。

また、人間として菩薩行を行ずること(因行)と成仏(果徳)が同時併行であり、どの瞬間も久遠となり、久遠は今となると考えていたとしている。

これは、時間論的に重要な考えかたであり、今この瞬間を重視するものである。

今ここに心を寄せるは、マインドフルネス的でもあるが、そのベースに教えの受け渡し、過去、現在、未来への流れが存在しているとも言える。

そういう意味で純粋にテキストから見えてくる新たな法華経の価値をあらわにした一冊と言えると思います





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