田舎のおばあちゃん

おばあちゃんのことを思い出した。
彦根という街の郊外に暮らしていて、
夏休みになるとずっとやっかいになった。
凄く暑がりのおばあちゃんは扇風機を抱え込み、
下着姿で風にあたっていたのを思い出す。

ゴリラに似た人だなと思っていたが、
今思い出すとオランウータンに似ていた。
太っていたし足腰が弱まっていたからか
滅多に立って歩くことはなかった。
腰を曲げてよっこらしょと言って歩いた。

おじいちゃんよりも体が大きくて
気がきついので家のボスという感じだった。
お嫁さんが家事全般を行っていたが、
おばあちゃんが睨みをきかせていた。
家にいる孫たちを凄くかわいがった。

午後のメロドラマを見るのが好きだった。
好きなことはなかったように思えたが、
暑い夏のことだったからだろうか。
スイカを頬張りサイダーを飲んでいた。
お小遣いをくれたが何に使ったかわからない。

扇風機を出すとおばあちゃんを思い出す。
オランウータンに似たおばあちゃんを。
好きだったのかは皆目わからないが、
また会ってみたい気がとてもしてしまう。
おばあちゃんの血が流れているからだろうか。