濱口メソッドと譜読み

「ドライブマイカー」での台本の本読み、
感情を入れないで朗読を繰り返す。
濱口監督が映画作りで実践している手法、
「濱口メソッド」を映画内で再現していた。

それは指揮者やソロを弾くピアニストなどの
楽譜の譜読みと同じだなと僕には思えた。
まずはまっさらな気持ちでその曲と接し、
作曲者の意図を深く理解していく。

そこにその人独自の音楽ができあがる。
誰かの作品を真似するのでは決してない、
クリエイティビティに満ちた地道な作業。
そこから新しい世界が生み出されるのだ。

音楽を学んでいない僕は譜読みができないので、
誰々の何々の演奏がよかったということしかない。
合唱では指揮者の意図を再現するだけに留まる。
寂しいがそこにやる意味を見いだすしかない。

俳優でもないので本読みをすることもない。
しかし誰かの戯曲を読むのであれば、
解説を読まずにまっさらな気持ちで読みたい。
それは映画でも演劇でも絵画でも同じだろう。
自分だけの解釈を得なければならないのだ。