アームチェアトラベル

「あーあー、世界中が感染して

どこにも行けなくなっちゃった。

つまらないなあ」

「そうだね。だったらさ、本を読んで

行ってみた気分を味わってみてはどうだろう。

アームチェアトラベルをするんだ」

「肘掛け椅子に座って本を読み

空想に耽って旅をするってことね。

仕方ないし、それもいいかもしれないね」

「英国では昔から盛んだったんだ。

地図や地球儀、時刻表まで

傍らに置いて楽しんだようだよ」

「訪れる国やいつ行くか、

旅をしていくルートなどを決めて、

どんなところかを想像するわけね」

「そう。だからできれば

本を読むだけで写真や映像は見ない。

そのほうがずっと想像が楽しくなる」

「今はネットでリアルに

情報を収集できるものね。

でもそうしたことはしないわけね」

「その通り。アームチェアトラベルは

ヴァーチャルトラベルに比べて

空想の上では優るというわけだ」

「あくまで空想を楽しむのね。

どこで何が起きるかまで。

アームチェアトラベルの醍醐味ね」