春風に藤波

ご近所の広い庭に

藤棚が作られていて

見事な藤の花が

紫の房となって

いくつも垂れ下がった。


暑い日光を遮り

涼しげな日陰を作る。

その下で野点などして

抹茶をいただけば

さぞやめでたいだろう。


春風が吹いたりして

滝のような藤の房が

ゆらゆらと揺れて

藤波になっていく様は

まさに万葉の世界だ。


甘い茉莉茶の香り、

藤の花を見上げて

歌でも詠もうか。

清少納言が枕草子で

詠んだように。


藤波の 茉莉茶の香り 万葉の 京太郎