ピンクの誇り

おかしな夢を見た。
ピンクのシャツに
ブルージーンズ。
着古したもので、
色が褪せている。
綺麗な女性たちが
同じ格好で働いている。

彼女たちは北欧から
出稼ぎにやって来た。
制服を着た男たちが
彼女たちを見張り、
過酷な労働を有無を
言わさずに行使させる。
冷酷な男たちだ。

貧しい彼女たちを
蔑み馬鹿にする。
働かせてやっていると
横柄な態度をとる。
彼女たちだけでなく、
夫や父母や祖父母までも
激しくなじるのだ。

そうしたある日、
我慢できなくなった
一人の女性が立ち上がった。
自分だけなら構わない。
しかし愛する家族まで
馬鹿にされるわけにはいかない。
「謝れ!」と迫る。

女たちが次々に立ち上がり、
怒りに満ちた目を
らんらんと光らせて
猛然と男たちに迫る。
「謝れ!謝れ!謝れ!」
口々に連呼して
男たちに向かっていく。

男たちは堪らず逃げ出した。
背中を見せて走っていった。
女たちの勝ち誇った笑いが
工場に響き渡る。
ピンクのシャツを着た
女のプライドが男を追い払った。
ピンクの誇りだった。