野萱草の夏

山道に橙朱色の
野萱草が咲いている。
百合の花に似ているが
野趣に富み群生している。

陽が昇れば花が開き、
沈めば咲き終える。
綺麗な一重姿の
儚い一日花である。

蕾も花も食せる。
ふっくらとした
黄色い蕾は茹でれば
酸味のあるアスパラのよう。

花は湯がけば
歯ごたえがあり、
天麩羅にすれば
甘みが出て美味い。

蕾を蒸して天日干し、
乾かせば金針菜、
根は萱草根という
漢方薬になる。

観て美しく、
食して美味く、
薬にまでなる野萱草、
この夏いちばんの野花だ。