美味しい蝉は?

夏目漱石の『吾輩は猫である』で
我が輩である猫が蝉を食べるシーンがある。
ミンミン蝉とアブラ蝉は美味くないが、
ツクツクホウシは美味だと言っている。

食虫界では蝉は食べやすいと人気のようだ。
古代ギリシャの哲学者、アリストテレスは
蝉の幼虫は美味いと書いたものだから、
昆虫学者のファーブルが食べたりしている。

幼虫は肉が詰まっていて歯ごたえがあり、
天ぷらや煮付けや甘酢あん掛けもいいようで、
チリソース炒めなども柔らかい食感で
かなりいけるというのである。

成虫は唐揚げや天ぷらがいいそうだが、
ミンミン蝉は淡泊で海老っぽく、
アブラ蝉は旨味とコクがあるといい、
ニイニイ蝉は軽い食感でスナックに抜群。

残念ながらこの蝉の食中会では
ツクツクホウシの食リポはなかった。
井伏鱒二は小説『スガレ追い』の中で
アブラ蝉はビールのつまみによいと書いている。
そのうち新しい夏の料理になるのかも知れない。