昔の電気屋さん

僕が子供の頃は
テレビでも冷蔵庫でも
近所の電気屋さんから
買ったものだ。
故障したら来てくれて
修理してくれたものだった。

それが今では家電と言えば
量販店で買うのが当たり前、
故障したら直せないから
新しいのを買う羽目になる。
昔は人情があったけれど、
今は冷たい世の象徴だ。

そんな人情の電気屋さんが
日本にもまだ残っていた
20年以上も前のお話である。
映画「幸福のスイッチ」は
沢田研二演ずる稲田誠一郎の
電気屋「イナデン」の話。

「イナデン」では売った家電は
後々までいつでも修理に伺い、
その家の電球交換から家具の移動、
家庭相談にまで乗ってしまう。
「お客様第一・儲けは二の次」の
あきれるほどサービスに徹する。

村人は「イナデン」のお陰で
生活が成り立っている。
老人たちは電気屋さんに感謝、
人付き合いが温かだった。
昔の日本はこうだったと
思わせられた映画だった。

そういえば駅前には今も
小さな電気屋さんがあったっけ。
家電はここで買わなくっちゃ、
修理を頼める親切な電気屋さん。
安いからって量販店で買っちゃあ、
人間が廃るってものだ。
映画を観て大いに反省させられた。