ドローセルマイアーの人形劇場

子供たちに大人気の
ドローセルマイアーが操る人形劇。
演目はブレーメンの音楽隊、
コウノトリになった王様、
ハメルの笛吹き、金のガチョウ、
ヘンゼルとグレーテルなど
多くの童話がもたらされる。

木箱に入れたたくさんの人形、
それを抱えながら街から街へと、
旅をしながら幼稚園などを訪ね、
子供たちに人形劇を見せるのだ。
ドローセルマイアーの奥さんはユーリア、
彼らの娘はゼルペンティーナ。
奥さんも娘も操り人形である。

ドローセルマイアーの人形劇に魅せられた
エルンスト青年は教師の仕事を辞め、
彼にくっついて助手を勤めだした。
いつしか自分で人形を操るようになり、
声色も自在にできるようになった。
ドローセルマイアーの弟子となった彼は、
とうとう人形劇師として独り立ちをした。

人形を操っているのではなく、
人形に操られるようになった。
もはや人形劇を行っているのではなく、
人形劇の世界に溶け込んでしまった。
人形劇師としての壁を乗り越えた
エルンストはゼルペンティーナを妻とした。
そんな物語を斉藤洋が紡ぎ出した。
『ドローセルマイヤーの人形劇場』、
翻訳本のようなドイツの世界だった。