雅なショパン!
いきなり強いフォルテッシモ。
ピアノの鍵盤をしっかり叩き、
ショパンの情念が爆発する。
恋人との結婚を反対されて、
破局を迎えたショパンの気持ち。
スケルツォ第2番が始まった。
後輩の長女、雅ちゃんから
ピアノ演奏会の通知をもらった。
7歳で始めて17年となる今日、
ちっちゃな少女が大人になり、
結婚して初めての演奏会。
僕は彼女の演奏を初めて聴いた。
黒いドレスに身を包み、
純白の腕から力がほとばしる。
ネックレスやイヤリングが
輝いてとてもシックで美しい。
愛子内親王のような顔立ち、
雅ちゃんのピアノは雅だ。
約3年をかけて仕上げた一曲。
ショパンのスケルツォの中で
最も有名な第2番を弾きこなす。
大胆で繊細で優美で華やか。
雅ちゃんのピアノは躊躇なく、
最後まで思いを込めて弾ききった。
聴衆から割れんばかりの拍手。
可愛い笑顔はとても満足げだ。
子供の頃から彼女を見てきた僕は
まさに親戚の叔父さんだった。
ハラハラドキドキしたけど、
雅ちゃんの雅なショパンは
どんな演奏家のものより良かった!