十三夜にハッちゃんを偲ぶ

ハッちゃんが死んで
何年になるだろう。
ファッション写真の
大御所だった橋本祐二。
『流行通信』の編集長、
沖山さんの紹介だった。

背が高くて銀の長髪、
まるいサングラスに、
洋服のセンスは
ロンドンのロッカー。
実際ロックもやっていた
カメラマンだった。

ハッちゃんはあるとき、
『富岳百景』と題する
個展を開いたことがある。
葛飾北斎の写真版だった。
和紙にネガを焼いた
絵画のような写真だった。

ハッちゃんの写真は
いつだって新しかった。
斬新な手法を駆使して
自分の世界を作った。
自分の心を写真に乗せて
常にアートしていた。

ハッちゃんが懐かしい。
長身で細身で格好いい。
奥さんのキララさんも
亡くなったと風の噂で聞いた。
2人にまた会いたいなあ。
そんな十三夜の日だった。