「鱈めし」の棒鱈

東日本の駅弁人気投票、
「駅弁味の陣」で初代
駅弁大将軍に選ばれた
直江津駅の「鱈めし」。
棒鱈の甘露煮が大将軍の
貫禄を醸す逸品である。

金槌でも割れないほどの
堅い鱈の干物が棒鱈。
水と緑茶で1時間も
煮て戻してさらに40分、
甘辛く煮てできあがる。
ほろほろの食感が抜群だ。

この棒鱈は江戸時代から
庶民の味として好まれる。
落語の演目にもなっていて、
故・小三治の十八番だった。
酔っ払いが田舎侍に絡み、
刃物沙汰になってしまう。

慌てて止めに入ったのが
棒鱈を煮ていた料理人。
棒鱈は酔っ払いやまぬけ、
野暮天などの意味があり、
喧嘩の二人は正に棒鱈。
料理人の手に棒鱈と胡椒。

喧嘩の棒鱈たちに棒鱈の
胡椒を振ったものだから
大きなくしゃみを連発。
横合いから胡椒(故障)、
邪魔が入ったのオチで
ちゃんちゃんと一件落着。

棒鱈は煮るのに根気が要るが。
駅弁はいまでも人気があり、
落語は名人しかできない
古典の演目にもなっている。
いつか「鱈めし」を頬張りつつ
落語の「棒鱈」を聞いてみたい。