三島の『鹿鳴館』

明治時代に建設された鹿鳴館は
欧米諸国との不平等条約を
改正する目的のための迎賓館。

鹿鳴館ではパーティが催され、
日本政府の高官や貴族や軍人が
ドレス姿の夫人を連れダンス。

日本国が文明国であることを
世界に示すための欧化政策だが、
国粋主義者は亡国だと政府を非難。

こうした政治上の争いを描いたのが
三島由紀夫の『鹿鳴館』であるが、
登場人物の恋模様を加えた所が出色。

特に主人公の景山伯爵夫人の朝子がいい。
市川崑が監督した『鹿鳴館』では
この朝子を浅丘ルリ子が演じている。

どれだけ美しく優雅で毅然としていたか。
この映画をぜひとも観てみたいものだが、
DVDさえもないのがとても残念である。
戯曲ラストの銃声はいかになったのだろうか。