「遊行柳」

広々とした田んぼの彼方に

高く大きな柳の木が飄々と

枝葉を風に靡かせ佇んでいる


その昔、弟子を連れた遊行上人が

この朽木柳に導かれて念仏を唱え

「遊行柳」と呼ばれるようになった


那須芦野のこの「遊行柳」は

西行法師が奥羽地方を旅した際

心惹かれて歌を詠んでいる


松尾芭蕉は「奥の細道」の折りに

この柳の木陰で西行法師の思い

田植えの情景とを俳句にしている


田一枚 植て立ち去る 柳かな 芭蕉


感慨に耽っていると、早乙女たちの

田植えが1枚、終わっていた

今も「遊行柳」は往時と変わらない