林芙美子記念館

師走だというのに暖かく
天気もいいので妻と
ブラブラ歩いて
新宿区中井にある
林芙美子記念館に行った。

新宿歴史博物館で
林芙美子展を観覧して
林芙美子が住んだという
今は記念館になっている
家を見たかったのだ。

芙美子は新居を建てるに
たくさんの建築書物を読み、
京都の寺社や民家などを
設計家や大工と見て回り、
木場の材木屋にも足を運んだ。

設計は山口文象に依頼、
芙美子がこだわった
数寄屋造りの家を建てた。
客間よりも自分たちが使う
居間や風呂や台所に贅を尽くした。

光が存分に入るよう開口し、
東西南北に風が通る。
杉の木をふんだんに使い、
外壁は酸化鉄入りの漆喰、
庭は苔寺のように竹藪にした。

とても安らぐ家であったため、
書斎で書き物をするだけでなく、
太宰治が一日中酒を飲み、
川端康成が絵を持ってきたり、
井伏鱒二が茶を飲みに来た。

芙美子が亡くなってから
庭の竹は切られて、
椿や石榴、花梨や梅や桜など
日本庭園の様相となった。
秋のこの時期は特に紅葉が
赤く色付いて美しかった。