人は皆、役者

フランソワーズ・サガンの

『藍の束縛』に書かれていたのか、

「人は皆、自分の役を演じている。

だから皆、役者なのである」と。

それもその時々に合わせ、

自分に与えられた役を演じている。


そう思って人を観察してみると

確かに上手に演じ分けている。

普段はくだらない冗談を言っている人が

子供たちの前ではいたずらを叱って

威厳ある態度でお父さんを演じていて、

すっかり面食らってしまうことがある。


妻の前では良き夫を演じて、

喧嘩が起こらないようにし、

会社では周囲が和むように

コメディアンを演じる者もいる。

社長は家庭とはがらりと顔を変え、

立派な社長をしっかり演じたりする。


誰もがそれを自然にやってのける。

自然だから緊張もゆるみもなく

さらりと名演技をやってのける。

でも、そんな演技ができるから

社会生活が円滑に運ぶのだ。

世界は大した役者揃いである。


毎日、誰かを見るたびに

<あの人、役者やなあ!>

そう思って笑いを堪えることも多い。

日常には愉しいことがたくさんある。