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成長を続けていく上で、「分業」という手段が果たす役割とその先に見据える未来

株式会社アート建工は鳥取県米子市に本社を構える鳥取県着工棟数No.1ビルダーです。今回はクライアントインタビュー第3弾として、魚谷宗司社長にお話を伺いました。

外部人材を有効活用することで採用課題を乗り越え、鳥取県内においてNo.1ビルダーの地位を確立し、いまもなお成長を続けている企業です。自身で事業を立ち上げ、会社を急成長させるために分業を取り入れてきた魚谷宗司社長に、外部人材を有効活用するという経営判断に至った経緯と、その考え方についてのお話をいただきました。

〜株式会社アート建工魚谷宗司社長のご紹介〜
2004年同志社大学卒業後、父親が経営する会社(現在のアート建工)に入社し、不動産事業を1人で立ち上げ、2012年に代表取締役に就任。その後、鳥取・島根商圏において2ブランドの展開や6拠点の展開を進め2019年には着工棟数鳥取県ビルダー部門1位を獲得し、年間150%超の事業成長を継続。副業・シニア人材の積極採用や、外部パートナーの有効活用、工務の土日休み実現に向けた組織構造づくりなど、独自の組織戦略を取り入れながら展開を続ける。


全部1人でやるのは無理。でも人がいない。そこから見出した外部人材活用と組織づくりのポイント

ー大学卒業後すぐに事業を1人で立ち上げる中で相当なご苦労があったと思うのですが、ここまで成長する中でどんなことをされてきたのでしょうか?

新規事業ということもあり、本当に自分1人で立ち上げをしなければならなかったので、事業を始めて最初の5~6年は分からないことだらけでした。でも、当時は外部のネットワークもなかったですし、外部活用についても前向きではなかったんです。

そのため、法律の相談をしたくても、弁護士はもちろん、誰も頼れる人がいなかったので自分で本屋に行って法律の本を買い、徹夜でインプットして次の日には会社でアウトプットできるようにする。ということをずっとしていました。

その結果、本屋に行くことが自分の仕事になっていたのですが、その非効率さを解決しないと成長スピードが上がらないという問題にぶつかり、自分が経営の主導権を握れるようになってきたタイミングで、分からないことはその道のプロに頼るようになっていきました。

ー魚谷社長が外部人材の有効活用を意識し始めたのは、事業拡大スピードを上げるためだったんですね。

そうなんです。

新たに住宅事業の新規立ち上げを始めたときに、さすがにノウハウゼロでは競合には勝てないと分かったので、情報収集の一環でVC(ボランタリーチェーン)に加盟したんです。当初はコンサルタントの方を雇うお金が無かったので、VCで出会った経営者の方たちにビジネスのノウハウをたくさん教えていただきました。

その結果、少しずつ売上が作れるようになってきたので、その成功事例をもとにコンサル・業務委託などを含め、外部の力をどんどん活用していく方向に舵を切りました。

ーその経験をもとに、分業(外部リソース活用)を積極的に推進していかれたのですね。

そうですね。

ノウハウが全く無い状態の中で、何を内製化して、何を外部に頼るのかを考えた時に、実は”内製化しなければいけないものはほとんど無い”ということに気づいたんです。

もちろん、この人であれば会社の印鑑を預けても大丈夫という信頼のおけるコアメンバーを何名か社内に置くことは絶対に必要ですが、信頼できるコアメンバーさえいてくれれば、あとは社員であろうと業務委託であろうと、事業を成長させたいという想いさえ持っていてくれれば、雇用形態にとらわれる必要はないんです。

ーそのような中で、これまで成功も失敗もたくさん経験されてきたと思うのですが、アート建工を運営してきた中で最も大切にしてきたことは何なのでしょうか?

先程の話と重なりますが、印鑑を預けられるぐらい信頼できるコアメンバーを作るということです。そこにつきるような気がします。

ーコアメンバーはいま何人いらっしゃるんですか?

明確に言えるのは、役員3名ですね。ただし、事業が成長するにつれて信頼できる準コアメンバーもどんどん増えてきたので、そのメンバーを引き上げて経営側に引き込んでいきたいと考えています。

ー社内でそのようなメンバーが育ってきているというのは、素晴らしいことですね。そういったメンバーが増えてきている背景にはどのようなポイントがあるのでしょうか?

すごくシンプルなことですが、”隠し事をしない。”ということです。自分はもちろんしないですし、メンバーにもさせないということですね。

あとは必ず週に1回集まって雑談する場があって、コミュニケーションは密に取るようにしています。その結果、コアメンバーは、私が考えていることをとても良く理解してくれているんです。

そして、コアメンバーが他の社員にも「きっと社長ならこう言うと思うよ。」と、自分の考えを伝えてくれていて、これがものすごく助かっています。そのために、とにかく自分の考えをひたすらコアメンバーに伝え続けてきました。

社内・社外の壁を取っ払い、目標を達成する上で必要であれば、外部人材も徹底的に活用する文化を醸成していく

ー分業文化を受け入れられない会社さんもいらっしゃる中で、外部人材を取り入れることをポジティブに受け入れる文化を醸成することはとても大変だったと思うのですが、どのようにその企業文化を醸成してこられたのでしょうか?

まだ従業員が10名程度だった時に、分業文化を受け入れられずに優秀な人材が同時に辞めてしまうということがあったんです。営業で言えば、「0から10まで全てやってこそ営業だ!」というタイプのメンバーがことごとく辞めてしまいました。その方々は、非常に能力が高い方が多かったので、かなり困りましたね。

とはいえ、自社の商圏内に必要要件を満たした人材が少ないのであれば、外部人材を活用するしか成長を続けていく方法はないので、この問題をきっかけに、分業スタイルを受け入れられる方を採用するという方向に採用要件を変更していきました。

ーなるほど。分業文化を受け入れられるということを採用要件に取り入れていかれたのですね。

はい。私たちはそれをインテグリティー(intiglity:誠実さ・真摯さ)と表現しています。能力はあるけど誠実さがないのはだめ、能力も誠実さもある方はもちろん採用ですが、そんな人材はなかなかいません。

迷うのは「能力は高いけれど、誠実さに欠ける」・「能力は高くはないけれど、誠実である」という方です。その二択であれば、誠実な方を採用するということを弊社の採用ルールにしています。

ー確かに、我々も定例のミーティングで御社の営業の方々とお話させていただきますが、皆さんすごく前向きに「HOTLEAD」を活用いただいていて、成約があるたびにご報告くださいますし、あんなに一緒に成果を出そうという想いで向き合ってくださるミーティングは中々ありません。

仲良いでしょ?仲良いんですよね(笑)

homieさんは現場のメンバーと一緒に仕事されているから分かると思いますが、弊社のメンバーには外部アレルギーがないんですよね。

社内に常に外部の方がいらっしゃるので、外部の方と協力をして目標を達成することが当たり前になっているんです。そこは弊社の文化としてできあがっていますね。

ー社内・社外という概念がそもそも無いということなんですね。だから我々外部の人間とのミーティングでもとても反応がいいんですね。ちなみに、採用は鳥取エリアの方に絞られているんですか?

昨年までは、鳥取エリアに限定して採用を行っていました。でも、それだと母数もかなり限られてしまうんです。僕らの採用はほとんどがエージェント経由での採用になるので、採用コストが売上に対して高くなってしまうこともよくあります。採用にはかなり投資をしているので、辞められてしまうと正直辛いですよね。

だからこそ、採用した人たちを大切にし、彼ら・彼女らが働きやすい環境を整えていくことでずっと働き続けたいと思える会社でありたいんです。そのためにも、外部人材を活用して分業することによって、やる仕事を絞り、その仕事に集中できるようにしています。

ー働きやすい環境を作るために、分業以外で意識されていること、やっていることはありますか?

営業職でいえば、アポイントの取得をゴールとすると、その口実として無料のプラン作成や土地情報のご提供という仕事が多くなります。確かに注文住宅の営業でそれが最も簡単にアポイントを取る方法ではあるんですが、弊社ではそれを禁止しています。

無料でプランを提案するということは、接客を成立させる上ではすごく耳障りの良いトークではあるのですが、お客様の本来の目的を達成する上では本質的なアプローチではないんです。

加えて、安請け合いをすると商談の内容も薄くなりますし、お客様の期待値を超えられなくて失注につながることも多くなります。さらには、接客を成立させるためだけの無駄な事前準備によって、労働時間がとんでもなく長くなることにもなるんです。

ーそれを禁止することに対して、営業の方からの反発はありませんでしたか?

そうですね。反発はありませんでしたが、禁止されてしまったことによって、接客件数が減ってしまい、最初はすごく苦しかったと思います。

ただ、そこからはアート建工の建てる家の説明や、山陰エリアに適した家作り、土地の探し方の説明をすることの優先順位を上げました。現在は、お客様のニーズを鵜呑みにして闇雲に提案をぶつけるのではなく、きちんとお客様のニーズに向き合った接客ができるようにしています。

ーなるほど、仕事の目的や優先順位を明確にして、やるべき仕事に向き合うということですね。

分業パートナーに求めることは「コミュニケーションで社内に変革を起こしてくれるか」

ーこれまで組織を作ってきた中で、鳥取という地域に特化しているからこその良い面、特化したことによって苦労した面あったと思いますが、それぞれどんなことがありますか?

良い面は、大手さんにとっては、マーケットが小さく、出店の優先順位が低いため、積極的に参入してこないということですね。もちろん、鳥取に営業所がある大手さんもあるのですが、営業人数はかなり少ないです。

確かに、そこに優秀な人材を配置するよりも、市場規模がもっと大きいエリアに配置した方が効率は良いですよね。なので、人材配置の優先順位という問題が大きいんだと思うんです。

反対に、苦労する部分はまさにそこで、先程も言いましたが人が採用しづらいという点です。県外から他社さんが進出しづらい一方で、僕らみたいに地域に特化した会社でも地元採用は難しいです。

ですから、地域No.1のポジションを確立したとしても、かなり人材・採用ファーストになりますよね。採用が難しいからこそ、外注できる部分は全て委託して分業してきました。というよりも、分業をせざるを得なかったんですよね。

ー冒頭の話にも繋がりますが、やはり成長を続けていくために分業が必須だったということなのですね。様々な分業パートナーがいらっしゃると思うのですが、それぞれどのような役割を期待されているのでしょうか?

分業パートナーは相当使い分けていますね。

例えば、顧問の方たちは知の王様というか、とてつもない知識がある方なので、何か分からないことがあったら都度聞くという方たちです。そういった顧問団みたいな方たちが上にいて、その次に中間管理職としてコンサルの方に入っていただき、戦略立案やメンバーのマイクロマネジメントをお願いしています。

ー反対に、分業をして上手くいかなかったことはあるのでしょうか?

他社の成功事例をそのまま真似てしまった時は上手くいかなかったですね。県外の会社の成功事例を見て、他社で成功しているのだから我々でも成功するだろうと思って取り入れてみたんです。当たり前ですが、違う会社なのですからそのまま真似しても上手くいくわけないですよね。

ドラッカーの言葉に、「まず何が正しいか考えなさい。その次に、それは自分達にとって正しいのかを考えなさい。」というものがありますが、我々にとって本当に正しいのかと、よく吟味することが大切です。

だから、新しいサービスを導入する時も、かなりの時間をかけてサービスのビジネスモデルを吟味します。その中で自社にハマりそうなものを選んでいくことが大切だと思っています。

ー御社にとってうまく行く分業パートナーの共通点はどのような点なのでしょうか?

少し強引なくらいでいいので(笑)、たくさんコミュニケーションをとって従業員を巻き込んでいただけるパートナーさんですね。御社にすごく助けられている点も、そこを担っていただけているからです。

個人的には、業務効率化だけを目的にした場合には、ツールを導入して終わる売りっぱなしの会社さんが多いと感じています。ただ、弊社のような中間管理職がいない組織だと、なかなか浸透せずに活用し切れないんですよね。

だからこそ、「HOTLEAD」の話を聞いた時に、導入した瞬間にシステムとセットで分業パートナーが増えるみたいな状況になるので、これは面白いと思いました。意外とツールと人がセットになったようなサービスって世の中にないんですよね。

homieさんは、担当の営業の方が毎月の振り返りや座談会を通して、弊社の理解を深めていただいたり、弊社の営業と話していただいて伴走して試行錯誤してくださるので、とても助かっています。

そうやってコミュニケーションを大事にしながら会社のメンバーを巻き込んでくれることが、ツール導入だけではなく、採用できた貴重な社員の育成にも寄与するので、僕らのパートナーを選ぶ上で一番重要視しているところかもしれませんね。

ーまさに弊社が大事にしている部分と重なりますね。我々が実現したいのは、業務変革なので、ツールを入れただけではそれは実現しないと考えています。引き続き、デジタルとアナログの両輪で少しでも御社の変革に寄与できるように頑張ります!本日は貴重なお話をありがとうございました!

今回は、外部人材を活用する時のポイントについて、株式会社アート建工の魚谷宗司社長にお話を伺いました。

魚谷社長が1人で立ち上げた事業を成長させるためにどうしたら良いかを考え抜き、その結果辿り着いた事業成長のための意志決定が、分業だったということが非常に印象的でした。そして、鳥取という狭いエリアの中で戦い、勝ち続けていく中では、分業するしかなかったという言葉は、魚谷社長のいままでのご苦労があったのだと感じました。

引き続き、コミュニケーションを大事にしながら、アート建工様と一緒に成長を続けていきます!今後も、Sales to Consulting-不動産営業に、もっと、輝きを−の実現に向けて、みなさまの気づきになるようなインタビューを実施していきます。

次回もぜひお楽しみに!


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