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5年で業績1500%を実現した企業のトップが営業育成で大切にしてきたこと

株式会社メルディアリアルティは、5年で業績を1500%に急拡大し、日経MJ(2021年10月)不動産仲介部門で全国28位にランクインした、今もなお成長中のメルディアグループ株式会社三栄建築設計の連結子会社です。今回は、クライアントインタビューと題して、齊藤孝安社長にお話をお伺いしました。35年に渡る営業経験、メルディアリアルティを急拡大させてきた中で大事にしてきたことについてお話いただきました!

~株式会社メルディアリアルティ齊藤孝安社長のご紹介~
日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、株式会社箕輪不動産入社。1990年同社史上最年少で次長に就任する。1994年箕輪不動産グループからの独立により株式会社ハウスプラザを設立。初代営業部長を任される。1998年に常務、2007年に取締役副社長に就任。街の不動産屋を日経MJ(2011年11月)の不動産仲介部門で全国28位になるまでに成長させる。2016年、株式会社三栄建築設計に入社し、株式会社三栄リビングパートナー(現:株式会社メルディアリアルティ)へ出向、代表取締役に就任。創業から6年で、日経MJ(2021年10月)の不動産仲介部門で全国28位にランクイン、創業に携わった会社を2社全国ランキングにランクインさせた不動産営業組織づくりのスペシャリスト。

営業力とは「人間力」、たくさんの「煩わしさ」を経験することが成長への最速ルート


ーメルディアリアルティを5年で1500%の急拡大をさせてきた中で、齊藤社長が大事にされてきたことを教えてください。

営業力は「人間力」ということを何度も繰り返し伝え続けてきました。

というのも、営業力は「商談力」だから実績を積まないとお客様と上手く話せない、売れないと勘違いしている人が多いんです。でも本当の営業力って、この人から買いたいとお客様に思っていただけるような「人間力」のことだと思うんですよね。

要するに、お客様が営業に求めることは十人十色なので、目の前のお客様が求めている人物に役者のようになりきれるかということなのです。よく素の自分を受け入れて欲しいという人がいますが、それは営業では通用しないと私は思います。素の自分で営業ができたら、その人は神様ですよ(笑)

でもこの営業力=人間力という考え方って、「これを言えば売れる!」というマニュアルトークを期待していた人たちからは理解されませんでした。以前に書籍にも書きましたが、営業はマニュアル通りに進むことはないですし、これを言えば買っていただける!というような魔法の言葉もないですから。

これを理解してもらうのには、かなり苦労しましたね。

−「営業力=人間力」ですか。私も、営業力って商談力だと思っていました。ちなみに、人間力ってどうすれば磨かれていくのでしょうか?

たくさん苦労を経験することだと思います。

相手の心は、多くの人と接していくうちに分かってくるものですが、多くの人と深く接点を持つことはすごく大変だし、ある意味の「煩わしさ」だと思うんです。でもその経験をしてきたか、してきていないかで人間力の磨かれ方が全然変わってきます。

これは、単に数をこなせば人間力が磨かれるということではありません。多くの人と接する中で、そのうち何人と真剣に深く向き合って、信頼を得たかということなんです。

例えば不動産営業だと、販売している物件にお客様を呼び込むことも大変だから、営業としてはたくさん集客できたことを認めて欲しいという気持ちもよく理解できます。

しかし、ただたくさんの人を集客するだけではなく、そのお客様1人1人と深く向き合って、何人と深い話ができたかが、人間力を磨くためには重要なんです。

−最近はハングリー精神が旺盛で上を目指すというよりも、安定・人並を選ぶ若手社員が昔に比べて増えているように感じるのですが、齊藤社長はどう思われますか?

確かに、昔は「とにかく上を目指せ!」っていう話をよくしていましたが、最近の若手社員にはそういう話が響かなくなってきてると感じるので、ほとんどしなくなりました。

でも、昔と違うからといって、経営者やマネジャーが若手社員に対して変に構えてしまうと絶対失敗すると思います。

実際、1対1で話してみると今も昔も本質的にはそんなに変わってないんですよね。

人並でいいっていう若手社員に「”人並の生活”ってどんな生活?」って詳しく聞いてみると、手取り年収で700~800万円くらいないとできないような生活のことをイメージしていたりするんです(笑)

でも、それくらいの年収をもらうということは、仕事を相当頑張らないといけません。そこを間違えて「“人並の生活”で良い」と言ってる人は多いと思います。

−なるほど、聞き方を変えると本音が出てくるってことですね。確かに、「何の不自由の無い生活=人並の生活」って思っている人は多そうですよね。

そうなんです。

だからいつも「親に感謝しなさい」と社員には伝えるようにしています。
「あなたが不自由なくここまで生活させてもらえたのは親のおかげだよ。」「一番良くないのは、親に自分がしてきてもらったことを、自分の子どもにはできないってことだよね」と。

あと最近の若手社員は、目標を口にしない人が本当に多いです。言って達成できなかったら恥ずかしい、ダサいと思ってる人が多いのかもしれません。

−確かに、不言実行って後付けでどうとでも言えちゃいますし、有言実行が一番プレッシャーかかって磨かれる部分はありますよね。

そうなんですよ。

失敗してもいいから、とりあえず目標は口にした方が良いんです。狙った目標に届かなかった、失敗したという経験を積むことも大事なことですからね。

ただ、失敗だと認識するためには白黒つくまで商談を持っていかないと失敗にすらなりません。今の営業は、みんな嫌われたくないという理由で、白黒つくまで商談を持っていかない人が多いように感じます。だから、商談数は増えているのに、蓋を開けてみたら本当に必要な経験数が足りていないということも起こっているかもしれません。

最近だと、保険業界の営業ノルマがきついなど、世間からの意見やイメージで、どんどん営業がやり辛くなってると感じることもありますが、私からしたらノルマ(目標)というのは本当にありがたいものだと思います。

なぜなら、ノルマ(目標)というのは自分を動かしてくれる1番の原動力なんです。ノルマ(目標)がなければ、「これだけやるから、それに対していくら払ってほしい」ということを全部自分で決めなければならないですが、それは相当大変なことだと思います。

私は、会社がノルマ(目標)もそれに対する報酬も全部決めてくれた方が絶対楽だと思うんですけどね。

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マネジャーはサービス業、いかに部下にサービスを提供できるか

−最近は、若手社員の営業力の強化を課題に掲げる会社様によくお会いするのですが、齊藤社長ご自身はどう感じられていますか?

これは最近の若手社員に問題があるというよりは、部下(若手社員)の育成ができないマネジャーが増えていて、その問題に気付いていない会社が多いということだと思います。

本来、良いマネジャーがある程度いれば勝てる組織になるはずなのですが、色んな会社でマネジャーに対しての期待値が下がってきていて、マネジャーも期待されていないと感じるから頑張れないという悪循環になっていると思います。

−確かに、メンバーの営業力に焦点が当たりがちですが、マネジメントに目が向くことってあまりないですよね。齊藤社長が思う「いいマネジャー」の条件ってなんでしょうか。

これは、ずっと言っていることなのですが、公平であることだと思います。
公平というのは、担当するお客様を営業に等しく振り分けるということではなくて、誰が見ても納得するジャッジを常にできるかということだと思うんです。

例えば、私だったら、頑張っている人に多く機会をあげたいのであれば、最初の3ヶ月は全員同じ数にして、4ヶ月目以降は頑張っている人に多くあげるよと事前に伝えた上で、納得してもらってからやります。みんなが事前に納得しているのであれば、それは公平ですからね。

組織の上に立ったら、1つの判断基準として、自分の子どもに対して許せることは部下に対しても許さなきゃいけないし、自分の子どもに対して許せないことは部下に対してもはっきり許せないとした方が良いと思います。一番格好悪いマネジャーは、自分の子どもには何でも許しちゃうのに、部下に対しては許さないという人ですね。

あとは、簡単なことではないんだけど、頑張った人が報酬でしっかりと報われるシステムを会社が作っておくこととと、マネジャーは部下をたくさん勘違いさせることも大事です。

−公平と平等は違いますもんね。勘違いさせるというのはどういうことでしょうか?

勘違いさせるというのは、「君は天才だ!」ってとにかく良いところを褒め続けるということです。これは、マネジメントする立場の人からはあまり理解されないのですが、人間の力には限界があるので、勘違いでも良いからしっかりと自信をつけさせて、精一杯背伸びをさせてあげないと望むような成長には導けません。

−確かに、細かく評価制度を決めて数値で評価するというよりも、少し過大評価くらいの方が自信を持って仕事できますよね。先程の「いいマネジャー」が増えるためには、営業マネジャーの意識をどう変えていくべきなのでしょうか?

営業マネジャーは要するにサービス業で、どれだけのサービスを部下に提供できるかということを意識しておくべきです。マネジャーの引き出しが多ければ多い程、部下もついてきますから。

あとは、基本的に優秀人材は超大手企業に流れてしまうものだから、採用で即戦力人材を採りたいと思うのは、むしが良すぎる話なんじゃないかなとも思います。にもかかわらず、自社を選んでくれた人に、使えないというレッテルをすぐに貼ってしまうのは、根本から間違っているんじゃないでしょうか。

逆に捉えると、伸びしろがある人が入ってくるわけなので、その人たちをいかに育てるかというのが本来のマネジャーの役割のはずです。人は植物と違って、水やりして太陽のあるところに置いておけば、勝手に育つなんてもんじゃありませんからね(笑)

−マネジャーの仕事は自分の引き出しを駆使して、部下の伸びしろを最大化させてあげるってことですね。齊藤社長がマネジャーを任せる時の判断軸って何なのでしょうか?

仲間に対する態度ですね。

会社の仲間に対して、どういう接し方をしているのかというのはさりげなくリサーチしています。ここも、さっきの「人間力」の話に繋がりますが、お客様に対する態度は、みんな気をつけていると思います。でも、仲間という一番油断してしまう相手に対しても光るものがある人は、お客様に対してはもっと上手く接していると思います。だってお客様を上手く導ける営業は、仲間のことも上手く導けますからね。

あとは、とりあえず一度やらせてみるということだと思います。やらせてみてできないのであれば、仕方がありません。失敗するパターンは、数字だけを見て売上順に上からマネジャーにすることです。マネジャーを任せられるかどうかというのは数字だけでは判断できないと思います。

師匠はお客様、営業に自信をつけたければお客様とたくさん会うべし

−現在、反響対応については弊社のHOTLEADを活用頂いておりますが、反響対応をしてこそ営業力が磨かれるという意見についてどう思われますか?

そこは間違えているとは思わないし、やっぱり営業としてはすごい重要な部分だとも思います。契約が多い営業は、反響対応も自分できちんとできていますからね。

分業によって反響対応を切り分けることは、その分浮いた時間で自分は何をするべきかということを考えて自分で動ける人間にとってはとてもいいと思います。でも、ただ楽をするためだけの分業なのであれば本末転倒ですよね。

さっきの、「闇雲に販売物件で接客数だけ増やしても営業力が上がる訳ではない」という話と「反響対応をやれば営業力が身につく訳ではない」という話は、近いかもしれませんね。

-なるほど、分業もあくまで手段であり、目的が大事だということですよね。齊藤社長から見て、どんな営業が活躍し続けていくと思いますか?

お客様とたくさん会って、お客様から学んでいく営業だと思います。

いつも部下には「あなたたちの師匠は私でもマネジャーでもなく、お客様だ。」と伝えています。ですから、もっと営業として成長したいのであれば、お客様(師匠)と会って訓練をするべきです。なぜ口を酸っぱくして接客数を増やすように伝えてるかというと、お客様(師匠)にたくさん会って学んでほしいということなんです。

売れる営業はお客様(師匠)にたくさん会うからどんどん成長していきますし、売れない営業はお客様(師匠)と会わないために成長が遅れてしまうんだと思います。

私が新卒だった時、1週間毎日違うお客様をご案内をして、その内3件のお客様にご契約を頂きました。それで気付いたのですが、やる気さえあれば平日でもご案内は出来ますし、ご契約もいただけるんですよ。

昔に比べたら休日が土日の人も少なくなりましたし、リモートやフレックスで働き方も柔軟になっている今、365日案内は可能だと思うんですよね。だから、チャンスは毎日転がっているんですよ。

たくさん経験を重ねれば、究極、会えたお客様全員にご契約いただくことだって目指せると思うんですよね。

-「師匠はお客様」ですか。確かに上司から学ぶことよりも、実際にお客様と話していく中で学ぶことの方が多いですよね。最後に、不動産業界は今後どう変わっていくべきだとお考えでしょうか。

もっと女性が前線で活躍できる時代が来るべきだと思います。今、不動産業界に足りていないものを挙げるとしたら、そこだけだと思っています。

女性社長や女性マネジャー、女性従業員ももっと増えてもらいたいですね。
ただそのためには、結婚しても、お子さんがいても活躍できるために、会社側が体制を整えないといけないと感じています。

朝から晩まで長時間働くことこそが営業のあるべき姿というイメージを早く取り払い、自分のライフスタイルに合わせて自由に働き方を選んだとしても、成果を上げ続けられるようにしていきたいですね。

−女性が活躍できる業界になったら素敵ですね!営業力はお客様と向き合う中でこそ磨かれるというのは、弊社としても非常に勇気づけられるお話でした。本日は、貴重なお話ありがとうございました!

今回は、5年で業績1500%を実現した組織における営業育成という観点について、株式会社メルディアリアルティの齊藤社長にお話をお伺いしました。インタビューの最後に、女性が活躍していく時代が来るべきということをお伺いできて、とても嬉しかったです。homieも、女性が活躍している会社ということで、不動産業界に少しでも女性の風を吹かせられるように頑張りたいと思います!

今後も、Sales to Consulting-不動産営業に、もっと、輝きを−の実現向けて、みなさまの気づきになるようなインタビューを実施していきます。

次回もぜひお楽しみに!

(インタビュアー:homie株式会社 岡本)

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