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大安売りのアイラブユー

ラブ& ピース。
息子が単語を喋るかどうかという頃から、毎日、お母さんは息子ちゃんのこと大好きだよー、と声をかけてきた。


当時から私が気に入ってよく読んでいた本のひとつが、くっついた、と言う絵本である。


この本の最後、「お母さんと〇〇ちゃんが〜 くっついた!」と言うところで、絵本同様にほっぺたをくっつけあう。それからおまけに、大好きだよーという。

そのかいあってか、息子は、大好きと言う言葉を早くに覚えた。


「お母さんは息子ちゃんのこと大好き」
「お母さんのこと大好きー」

このやりとりを、4歳になる今も、ほっぺたをくっ付け合いながらしょっちゅうしている。

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大好き、の宛先は、母だけではない。

保育園で1歳代の時だったか、帰りの際に保育士さんへ、大好きって言ってごらん、と促すと息子はなんとハグ付きで、耳元で大好きと言った。
保育士さんはたいそう喜んで、私も息子くんのこと大好きと言ってくれた。


息子からすると周りの人がみんな自分のことを大好きなのは疑うべくもないのだが、大好きと言うとみんながニコニコしてくれるのが気に入ったらしい。いろんなところで大好きと言うようになった。

近所のおじさんに遊んでもらって別れる時も、背中に向かって大きな声で大好きーと叫ぶ。おじさんはもうメロメロである。

少し大きくなってからも、保育園から帰る時はいつも扉の前でありがとうございましたさようなら大好きだよ!と叫ぶ。
ある時ふと思いついて「大好きは英語でアイラブユーだよ」と横で教えた。すると、


「ありがとうございましたさようなら大好きだよアイラブユー!」

と毎日降園時に叫ぶようになった。最初はびっくりしていた保育士さん達、3日もするとすっかり習慣になった。アイラブユーと言われるのを心待ちにしている。もう、アイラブユーの大安売りである。

母である私はいつも、苦笑のようなフリをして、(いいぞもっとやれ)と内心思っている。好意の返報性はきみを生きやすくしてくれるはずだ。

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さて、いつまで大好きって言ってくれるのかなあ。きっといつかは反抗期を迎えて、口も聞いてもらえなくなったりするのかしら。

その日に備えて母は、息子の自作の歌「オレは〜お母さんが〜だーいーすきー(以下繰り返し)」という動画を保存している。キーボードをでたらめに弾きながら、精一杯カッコつけて低い声で歌っているのがポイント。将来これを見せられてのたうち回る息子の姿を楽しみにしている。

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