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治らないと治さない

 9月1日に開催した「soundtracksVol.3」の対談(対バン)テーマは「治さない地域おこし協力隊」。私自身が1年半、山形県長井市で地域おこし協力隊として活動した経験を基にしたテーマ。「地域おこし」自体が目的になると、当事者である協力隊自身が息苦しくなり、引いては、一緒に伴奏してくれる人も窮屈になるのではないか、との問題提起を含んでいる。

「治さない」は、当事者自身の意志(能動性)が伺えるが、「治らない」は、受動的というか、ただ流されるようなニュアンスがある。

 ただ、誰かや土地と関係を結びながら、その中で見えてきた意志に従うこと。そのような関係の積み重ねの中で、その地に留まることを選んだり、旅立ったり、あるいは時折戻って来る場所になること。そんなことが、協力隊を実践する過程で実現できればよかったのかもしれない。

 よく考えれば、自分は意固地になっていて、どちらかといえば「治らない」と、どこかで自分や地域を低く見積もっていたのかもしれない。「治さない」場所を開くことで、「関係案内所」はつくることができるのかもしれない。今だからこそ思えること。

 田中君と西村さんが、現在の活動を通して、自分自身を研究をしていることとも接続する。自分をつぶさに観察して「治さない」ことと「治らない」ことのあいだに位置しながら、両者の間を行き来すること。その中に健康が宿るのかもしれない。

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