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詩のようなもの

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無題

無題

松のえだ ふうる ふうり ふうる
沖のしらなみ こり こり こり
空のくも に に に

海をみながら そんなおとをきいているとき
ぼくはそこにいて
ぼくはそこにいない
せかいはまるで おおきなスープみたいだ

そのとき
きもちのいいかぜが
ぼくのからだをなでて

いなかったほうのぼくが
いなくなる

ぼくはうれしくて
すこし かなしい

ことばについて

ことばについて

いつだって僕たちは ことば探しに忙しい
ことばの支えをもとめて

でも そういうことばが
先に見つかるということは
ほとんどないのかもしれない

まっくらな洞窟を抜けたあとで
日のひかりに目を細め
明るい場所から しばらくその暗い穴を見つめ
それから家に帰って
いつもの椅子に座って
濃いコーヒーなんか飲んでいるときに
ふと 思い出すのだ

暗闇のなかで
ポケットに手をつっこんで
握りしめていた

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ことばについて2

ことばについて2

かたちがあまり長く残っていないことば

枝をつかって 砂浜にかく絵のような
思わず出てしまった おならのにおいのような
ドアを軽くたたく ノックの音のような
そんなことば
毎日たべる お米みたいなことば

かたちが残ることば

石にふかく刻まれたことば
心にふかく刻まれたことば
シュプレヒコール

そんなことばは ほんのちょっぴりでいい
お米に塩をひとふり
そんなかんじ

そんなこんな考えながら

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