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一栄養士「食事バランス」の進化

栄養士になるべく学んでいた学生時代
わたしたち栄養士は「栄養バランス」とは何かを学びます。

いわゆる 「野菜を多く」「油を控えめ」「品数を多く」

みたいなやつです。

その後長く、その教えを信じて栄養士として活動していました。
わたしは産婦人科の栄養士なので、妊婦さんたちに
「バランスよく食べよう」
「太り過ぎたら油をひかえましょう」
「野菜の種類が増えるといいですね」
「お菓子の食べ過ぎはやめましょう」
これを言い続けていました。

これってめ~っちゃ ふつーのことですよね。
栄養士じゃなくたってわかる話
それをお給料をいただいて、妊婦さんにアドバイスしていたのです。

でもね、
どこの栄養指導を受けても似たり寄ったりなのではないでしょうか?
だってどのダイエット本を読んでも、糖尿病治療の本を読んでも同じことが書いてありますよね。
厚労省の示す食事摂取基準や専門学会から出ているガイドラインも同じようなことが書かれています。
素直なわたしは、それをひたすら読み解き、それが正しいと信じていました。

この当たり前のみんなが知っている食事、ほとんどの女性は気にしていますよね。
まして糖尿病になった人は本気でやっている!
それなのに良くならないのですよ
ダイエットしても痩せない。
糖尿病の検査数値は悪くなる一方。

一体なぜ???


この謎が解けたのは…
今から11年前くらいでしょうか、
上司である院長先生が「糖質制限」という言葉を発するようになりました。
「仲良しの産婦人科医師が糖質制限で糖尿病が良くなったらしいよ、
これはすごいことだよ」と、
さらにはそのような食事を提供するレストランに行ってきたらしく、翌日その感動をわたしに語ります。「すごくおいしかったよ~、あれを食べて糖尿病が治るなら最高だよ、うちでもやろう!」と。

そのときのわたしの反応は、どんなものだったと思いますか?

「ハ~~~~~???? ( ゚Д゚) 何言っちゃってる~~???」でした。

だって純真な気持ちで学んできたことは
糖質はヒトにおいて『必須の栄養素である』だったのです。
それを控えちゃうなんて!
しかもその頃は、東大大学院に協力していた研究で糖質は超重要、と解釈していたのです。

また糖質を控えることが良くないと考えていた理由の一つに大昔1990年代の論文の影響があります。
そこには糖尿病合併妊婦のケトン体の数値が書かれ、ケトン体の値が高い妊婦から生まれた児の学習面の発達の遅れがあったとありました。

ここでケトン体について簡単に説明します。
ヒトのエネルギー回路は大きくは2つ。ブドウ糖かケトン体(脂肪酸)です。
食事で糖質を摂っていたらブドウ糖がメインエネルギーとなります。
糖質が体内で枯渇してくると、内臓脂肪が分解されケトン体(β-ヒドロキシ酪酸)が生成され細胞のエネルギー源となります。

こんなことはも~っと詳細書かれているものが、今はネットで簡単に調べられます。それなのに医療に携わる人のほとんどが(医師も含めて)「ケトン体が危険」と認識しています。
例えばつわりの人は食事が思うようにとれませんね、そうなるとブドウ糖が枯渇してきてケトン体がメインエンジンとなって働いてくれるのです。それなのにつわりの人のケトン体をチェックして「あなたケトン体が出ているからつわりが酷いですね」みたいな話をするのです。

身体は糖がなくなったから、脂質へ切り替えるという当たり前のエンジン回路の転換をしているのに、具合が悪く食事を食べられない人のケトン体をチェックは「ケトン体が出ているから危ない」みたいな話です。
言いかえると、火事現場にはいつも消防士がいる(火を消しているので)ということは、犯人は消防士だ、という話です。

具合が悪い(食べられない) → ケトン体が出ている を
ケトン体が出ている → 具合が悪い証拠 としているのです。
わたしはいま糖質を控えているのでいつ調べてもケトン体が出ています。
でもとても元気です。
ケトン体がメインエネルギーとして活躍してくれているからです。

話を戻しますが
あの論文は、糖尿病合併妊娠から出産した赤ちゃんの学習面の発達の遅れをたまたま解析にかけたとき僅かな差が見られたケトン体の数値が原因であるという考察を書いたものです。そのケトン体の数値の差は、ケトン体をよく見るわたしとしてみたら差とは言えないのですが(例えば体温なら36.6℃と36.4℃の違いくらいなものです)、たまたま有意差が出たわけです(例えば体温で0.2℃の違いが健康に決定的に違うと言っているような感じ)。

その論文は産婦人科でよく学んでいる医師の間では、重要視されておりケトン体をいかに出さないかが妊婦には重要だと勘違いしています。
でも先ほど述べたように、つわりのときなんてみんなケトン体出まくりなのですが……、みんな発達の遅れがでているわけないですよね。
わたしは妊娠後期の妊婦で糖質をオフしていない人のケトン体をチェックしたことがあるのですが、みなさんケトン体は食後でも検出されました。
なぜって妊娠後期になると、赤ちゃんはママの食事からだけでは栄養が不足するのです。だから母体のケトン体を使ってエネルギー源にしているからです。これについては異常な多さの胎盤のケトン体などから見ても自然な考えだと今は思います。

今はそう思えるのですが、その当時は糖質を控えて赤ちゃんにケトン体が出たらまずいですよ!とそればかり院長先生に反論していました。

それでも院長先生も負けないのです。
「うちでも糖質制限を取り入れよう」と何度も話題に挙げるのでわたしの重たい腰もいよいよ上がりました。
糖質制限が本当に妊婦や赤ちゃんに問題がないのか勉強し始めたのです。

日本だけでなくアメリカ糖尿病学会など世界では糖質制限へどのように認識しているのかなど学ぶうち、糖質制限をして問題となるのは、あの論文に書かれていることだけだと思い至りました
さらにその論文に書かれていることを理解するために、妊婦や胎盤のケトン体を見てみたわけです。

そうなったら、今まで日本で常識とされ学校で学んだことは間違いだらけだったと確信してきました。そんな折、日本産婦人科学会のガイドラインに妊娠糖尿病のスクリーニングを全妊婦に行うことを推奨する旨が記載されました。全妊婦に検査を行った場合、おおよそ4%が妊娠糖尿病と診断されることになったらそのフォローが必要な訳です。
スクリーニング開始とともに、院内で妊娠糖尿病のフォロー体制を整えることになりました。よってそのときから現在に至るまで当院では「糖質制限」「カロリー制限」のどちらの食事療法を選んでもよい、というスタイルをとっています。

妊娠糖尿病の糖質オフの食事療法は、学びを深めるうちに「つわり」「貧血」「体重コントロール」すべてに通じていると気付きました。
さらには妊婦だけでなく赤ちゃんも成長期の子どもも、大人もみんなにとって良い食習慣なのだと気付きました。
そりゃ~そうなのです。
ここ2000年で米や小麦や砂糖を食べるようになっただけで、ヒトは400万年とも700万年ともいわれる長い歴史があるのですから!
言い換えれば、糖質オフして子孫繁栄をしてきたのです。

今となっては
「栄養バランス≒カロリー制限」的な考えが正しいという思い込みで
栄養士をやっていたことについて…

も~~~恥ずかしい(*ノωノ) の一言。

そーゆーわけでわたしは、基本的には糖質をオフしていくことが健康には大切だと認識しています。(もちろんそのオフするレベルは個々により違っていいし、糖質があった方がいいという大多数派の意見もアリだと思います。実際に長くそのように生きてきたわたしですし、ヒトの歴史を見てもここ2000年近くは糖質を中心としていますから。)
いろいろな栄養相談を手掛けてきて今一番結果が出やすく、万人に合っていると考えているのです。
どの程度に糖質をオフするか、その代わりにどんなものを増やすのかは
あなたの「ライフスタイル」「嗜好」「体質」などによって異なります。

さらにはあなたの心や体との関係性も大きく影響します。

わたしは今のあなたがもっと思った通りのあなたの身体になっていくお手伝いを「心・身体・食」のコンサルタントととして、ZOOM講座やセミナー、お料理教室やカウンセリングを行っています。
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