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106.伝染病について、宗教家が本気で書いた本を読んでみた ーワクチン製造の現状ー


はじめに


今回読んだ本は、2019年2月に発売された
「風邪見鶏 -人類はいかにして伝染病と向き合ってきたか」著者:三宅善信
という本で、金光教泉尾教会の総長が書かれた本です。
三宅氏はかなりのインテリで、ハーバード大学の研究所で研究員を務めたこともあるような方です。

実は天理教と金光教の仲はかなり良好で、この本も寄贈で頂いた本です。
面白そうだと思い、いつか読もうと思って机の上に並べていたのを昨日思い出し、早速手にとって読んでみたところ、現在のコロナ問題に関係するような面白い話しが、沢山ありましたので、紹介させていただきたいと思います。

ちなみに他の伝染病(感染症)に関する本は特に読んでおりませんので、エビデンスを気にされる方はご自身で調べて下さい。


日本では毎年約1万人がインフルエンザで亡くなっている


インフルエンザには、毎年流行する「季節性インフルエンザ」と、
約10年に一度出現する「新型インフルエンザ」があります。
実はこの「季節性インフルエンザ」関連だけで毎年約1万人の方が日本で亡くなっています。
毎年冬になると、病院や老人ホームで老人が立て続けに亡くなるのは、
インフルエンザの集団感染によるものでで間違いないと書かれています。

そんなに亡くなっているのに、なぜニュースになっていないのでしょうか?

その理由は、「集団感染」を認めてしまうと、医療施設・介護施設の管理不行き届きが咎められてしまうため、医師が死亡診断書に「心不全」や「肺炎」としか書かないからだそうです。

これは偽装かと言われたら、一応そうではありません。

直接の死因はやはり「心不全」や「肺炎」なのです。(コロナと同じですね)
しかし、「つい一週間前に元気だった高齢者がそのような状態に陥った原因は何か?」と言われたらインフルエンザの集団感染がきっかけだった場合が圧倒的に多いのです。

インフルエンザで大切な家族を亡くした遺族も、それが90歳を越えるようなお爺ちゃんだった場合、「ご高齢でしたので……」と言われれば納得してしまいます。

現在「肺炎」で亡くなった方が、新型コロナウィルスに感染していたかどうかばかりに気がいっており、「新型コロナウィルスに感染していなかった場合」は、「良かった」と安心するような風潮になっていますが、新型コロナウィルスが原因の肺炎でなかった場合、その原因の多くは、インフルエンザかもしれないということが容易に想像できます。


日本のインフルエンザワクチン年間最大生産量は2650万本しかない


衝撃ですよね。
毎年必要とされ、作り方が確立しているインフルエンザワクチンでさえ、年間最大2650万本しか作れないなら、新型コロナワクチンが開発されたとしても、すぐには普及することは望めません。

そのため、ワクチン頼みの自粛には無理があることが一目で分かります

ではなぜインフルエンザワクチンの最大生産量は2650万本しかないのでしょうか。

一つは、インフルエンザワクチンには「賞味期限」が存在するからです。

インフルエンザは理論上196種類あり、毎年流行するインフルエンザの型が違います。(実際に流行したことがあるインフルエンザは数種類です)
次年度にどの型のインフルエンザが流行するか、南半球の状況を元に推測し、半年間かけてワクチンを製造します。

毎年日本でインフルエンザの予防接種を受ける人数が、この最大生産量とイコールなので、これ以上作っても仕方がないということです。

もう一つは、インフルエンザワクチンを製造している工場が、日本に4ヵ所しかないことです。

インフルエンザワクチンは鶏の孵化途中の卵1~2個から、成人男性1人分のワクチンが生成されます。

ですから、大量に鶏が必要になるわけですが、鳥インフルエンザに一羽でもかかってしまった場合、その工場にいる鶏を全て殺処分しなくてはいけなくなります。

そのため、近場に工場が密集していると、一気に鶏が全滅する可能性がありますので、製造工場は鳥インフルエンザによるリスクヘッジのため、埼玉県、新潟県、香川県、熊本県の4ヵ所に別れて点在しています。

このことから、
新型コロナウィルスのワクチンが、インフルエンザのワクチンと同じ方法で作られるかどうかは分かりませんが、おそらく同じ方法で作られると仮定するならば、
ワクチンの作成方法の確立、材料の確保、作成期間のどれをとっても、ワクチンによる新型コロナウィルス短期解決は厳しいことが見えてきます。



ワクチン接種に象徴される「命の選択」


ワクチンが完成したとしても、一気に全国民に行き渡らない以上、誰が優先的にワクチンを接種出来るかという問題が発生します。

その時のために、厚労省には一応、優先順位が記載されたガイドラインが存在します。(厚労省:新型インフルエンザ対策ガイドライン)

医療従事者やライフライン関係者、政治家などの意志決定者、報道関係者、警察・消防・自衛隊などの治安関係者、あと忙しくなる火葬業者も優先的にワクチンを接種出来るそうです。

しかしそれ以外の人達は、一体どのような優先順位でワクチン接種を受ければ良いのでしょうか。

現在世界中で起きているような政治の現状・医療の現状を見てきたかのような内容と、宗教者が迫られるであろう今後の課題が本書の最後に掲載されていますので紹介させていただきます。

一般国民は、いったい誰から先に予防接種を受けられるのか?
高齢者や持病のある危険因子の高い者からなのか、それとも、これらの救済効果の薄い「弱者」を助けることは諦めて、日本の未来を託する青年や子供から優先して接種させるのか、厳しい政治判断のもと、国民の「いのち」に優先順位をつけることへの合意が国民に迫られる。
それは宗教倫理面での大きな課題である。
(中略)
もし、100名以上の重症者が同時に発生した場合には、近所の医療施設はどこも手一杯になるであろうから「助かる確率が高い人(症状が中程度)」から優先して医療施設に搬送するという手順を決めた「トリアージ」のような悪魔の選択をしなければならないのである。
(中略)
東日本大震災の際には、公的施設以外にも寺院などに大量の溺死体が運び込まれた。
しかし、それに近づくことによって、新たに自分も感染してしまうかもしれない伝染病で死亡した無数の遺体を、果たして宗教者は体を張って引き受けれるのだろうか…。
そこで人間のあり方や宗教の根本が問われる。
裁判員制度についても同じことが言えるが、宗教者自身は自己犠牲を払うことが出来ても、宗教者の家族や檀信徒の合意が得られるのか…。抱える課題の大きさが想定される。
ワクチン接種に象徴される「誰のいのちを救うのか?」という究極的選択を前に、「人間一人のいのちは地球より重い」や「不殺生戒」などのきれいごとの観念論は通用しない。そのような態度こそ「風邪見鶏」である…。
これからの日本社会には、条件付けされた中での否応無しの意思決定が求められるいわば「状況倫理」が必要となるであろう。

まさに、新型コロナウィルスが現在求められているのが、この「状況倫理」だと思います。

そして、宗教家が世の中に提供できる、今一番求められているのものが、この「状況倫理」だと思います。

この、何が正解か分からない難しい選択の連続を迫られる状況で、倫理的指針を示すことが宗教に対して求められているのではないでしょうか。



おまけタイム


どーも!もう扇風機が必要な家に住んでいる男
ほこりまみれの信仰者こーせーです!

我が家では、もう扇風機かエアコンが無いと汗ばむような状況になってしまいました。

以前のおまけタイムでも、チラッと紹介しましたが、我が家の冬は家の中でも白い息がでます。

冬は寒く、夏は暑いという残念な環境なのですが、気温以外は素晴らしい環境です。

今日は更新する時間も大分過ぎているので、なんの腹の足しにもならんようなおまけタイムで終わりたいと思います。

PS.昨日の記事を読んだ嫁に、ガッツリ怒られました(泣)

昨日の記事はこちら


本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!


ほな!




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