夢を売る男 百田尚樹
こんばんは、まっすーです。
今日は百田さんの「夢を売る男」の本を紹介したいと思います。
この本をオススメするポイントを1つに絞るとすると、交渉術ついてイメージできるところではないかと思っています。
今日は
「具体的な交渉術を知りたい!」
という方に必見の本をご紹介します。
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『夢を売る男』
幻冬舎文庫
平成27年5月1日 初版発行
著者:百田尚樹
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あらすじ
主人公の牛河原は編集部部長。
あらゆる作家を相手に仕事している。
「〇〇さんの作品には非常に感銘を受けました」
「〇〇さんの作品にはなぜか人の心を温かくします」
彼の仕事は、言葉巧みに作家をその気にさせて、この世に本を出版する仕事だったー。
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この本を手に取った時、『夢を売る男』という題名のごとく、三浦しをんさんの「舟を編む」のような編集者の情熱ある話なのだろうと思っていた。
しかし読み進めると、想像とは違い、
世の中のブラックな部分を揶揄するような風刺本に仕上がっていた。
「本を売り出すってお金がかかるもんだと思ってたけど、こんな印刷代で済むの?」
と、本が売れるカラクリをカミングアウトしていたり、
月刊本は生ぬるい作家のわがままな悪しき伝統が今も残っている!
と、途中で作家に対する愚痴(百田さんの本音?)がまるでヘドロのように出るわ出るわ、、、、
なんとも百田節全開な本だと思った。
「交渉が上手くなりたい!」
通常そのような願望を抱く人は、まず啓発本を手に取るはずだ。「相手の心を揺さぶる交渉術」とか、「これであなたも交渉達人!」などの啓発本を購入して読み漁るだろう(思いついた題名がなんともダサい)
しかし、啓発本で大切なポイントや気づきが与えられても、それを上手く自分に落とし込んで実践できる人はどれだけいるだろう。
どうやればいいか分かったのに、いざ自分が行動してみると、啓発本のようにうまくはいかない。実践でうまくいかないのはなぜ?
そんな時にこの本を開くと、有り難いことに編集長の牛河原と作家との会話が書き起こされている。
そして、会話の間や、声のトーン、仕草、感情の揺さぶられる様子、2人の距離感が文字を通して伝わってくるのだ。
例えば、次のような描写だ。
編集長の牛河原と作家。
二人の間にしばしの沈黙が流れた。
部屋に緊張感が満ちていくのがわかった。
うん、この感じは悪くない。
「この作品、、、だがー」
牛河原はゆっくりと口を開いた。
そして少し間を置いて続けた。
「、、すごい作品だと確信したよ」
作家の表情がぱっと明るくなった。
これは、才能はあるけれど、自分に自信がない作家に対して、自社で出版契約を成立させたいときの牛河原の交渉の様子だ。
始めに緊張感を持たせて、やはりダメかと思っている作家の心情を一気に持ち上げる。
なんと巧みな交渉術なのだろう。
こんな具合で、
牛河原は、その他の作家(自意識過剰な作家、クレーマーがちな作家etc)に対しても、その作家の求める部分を的確に見極め交渉していく。
ある時はへりくだり、またある時は圧迫的に。
まさに、交渉テクニック満載の本となっている。
少々似たような描写が多く散財されている印象を受けるが、
啓発本を読んでもいまいち交渉のイメージがわかない人がこの本を手に取ると
何かしらのヒントを得られるかもしれない。
最後に、、
この本には、「あっこれ、noteについて言ってるんじゃない?」と思える部分もあった。
現代は、誰でもネットを使って発信できる時代。
”みんな書きたがって、今では誰もが発信できる。
今では誰もが読んで欲しいと思っている。”
これ、私のことだー。
そんな揶揄があることも知りつつ、今週も懲りずにnoteを投稿しています。