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ショート: 科学における計算問題の重要性

科学における数学の重要性は、誰もがすぐに理解できることだと思います。 何故なら、数学は純粋な論理を表すのに最も適した国際基準の言語であるからです。

もう少し絞って、科学における定量的評価の重要性も理解できるでしょう。 数学の特に優れた面は、定量的な数を論理的に扱えるところです。 数学という名前の由来でもあります。

そこで、科学を学ぶ者にとって数学の理解と習得は、越えなければならない壁にもなっています。 特に、高等数学を必要とする科学分野では、数学の理解が目的になってしまっている感は否めません。 むしろ、数式が、その科学理論そのものすべてを示しているかのように扱われることがあります。 特に、新しい理論を紹介するときに、シンボル的に示されることが往々にしてあります。 例えば、相対性理論で言えば、$${E=mc^2}$$ がそれに当たるでしょう。

しかし、数式のみが科学理論を表わすものではありません。 科学理論で具体的に計算可能な定量的なモデルを表現しようとすると、数式だけでは足りず、数式に使用するパラメータや条件などを与え、さらにそれをシミュレーションしようとするとアルゴリズムが必要になってきます。

タイトルにある科学における計算問題の重要性は、そこのところのギャップを埋めるもので、単なる数式が、科学理論のモデルとして役に立たせることです。 実は、この部分が最も科学であるところなんです。 つまり、計算問題を解くと言うことは、数式を科学として成立させる重要なプロセスなのです。


計算には、具体的に数値を入れて結果を得たり、式を変形したり、自分が計算しなくても、シミュレーションのようにコンピューターで結果を得たり、いろいろあります。

特に式を変形するスキルは、理論の演繹や証明に重要ですので、理論を展開したり、理解したいときに、それが主になります。 式変形は扱っているのが変数であると言うだけで計算です。 式変形をして、初めて何を意味してるかわかることも多いです。

もちろん、具体的な数値を入れた結果を導き出すのも理解する上で非常に重要です。 数値結果を得て初めて、現象が理解できることもあります。

パラメーターサーベイなど、コンピューターによるシミレーションは、構築したモデルを具体的に可視化したりして検証(理解)しているのです。

ですから、理論を学習する時でも、理解する上で計算問題を解く事も重要です。


計算問題は、第三者が客観的にできる理論の定量的な結果の確認・検証でもありますので重要です。

世に中には、All or Nothingの二元論や、ステレオタイプへのレッテル貼り、定性的な理論展開に終始して、定量的評価をしない(すると馬脚が顕になるから)アジテーターがいますので注意が必要です。 これらは、単純で分かりやすいため、騙される人が後をたたないのです。

ですから、トンデモ理論を吹聴する似非科学者は、数学や計算を嫌う傾向にあります。 自説を説明するポンチ絵ばかり出している人が多いです。

特に、工学の分野では、いろんな場面で具体的数値で見積もれるスキルが必要です。 ですから、理論があやふやでも計算問題を解くことにより、理論の本質がわかることあります。 たとえ、計算間違いしても、どこで間違ったか検証できますので意味があります。

一般常識的に中高までに、文系の方でも、数学・物理など自然科学を習うのは、社会に出たとき騙されないようにするためのものでもあります。 そのためにも、広く金銭的なものも含めて色んな面に於いて、自分で計算することは重要です。

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