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ひたすらに話を聞くだけの保健師

今日はお話がとっても大好きな百合子さんの話

百合子さんはひとり暮らし。御年85歳だけれど、肌つやがとてもよく、認知面も衰え知らず。どう見ても70代前半にしか見えない。
最近膝や股関節が痛くなってしまったので、電動カートを乗りこなして買い物に出かける。
(電動カートもちょっと練習しただけですぐに乗れてしまった。)

そんな百合子さん、話が止まらない。口をはさむ隙が全くない。止めないでいると多分1日中話しているんじゃないかなというくらい。
百合子さんの話が聞きたいのに、自慢の息子さんたちの話や近所の話、病院の先生の話などに花が咲く。
百合子さん自身、話が長いことを自覚していて、「適当に切り上げて帰っていいんだからね!いつも来てくれる銀行の人にもそう言っているのよ!!」と笑いながら話す。
(この話から次は銀行の人の話に話題が移り、15分くらい軽く話す。百合子さん、きっと連想ゲームが得意。)
でも、黒井はそんな百合子さんの話が大好き。だから時間の余裕がある時に訪問を設定していた。

百合子さんの定番の話は息子さんたちの話。
百合子さんには夫と3人の息子がいた。夫はとても亭主関白で怒鳴られることは日常茶飯事で、家では酒を飲んで暴れることもあったとのこと。そんな夫に対しても百合子さんは冷静で、知らん顔。自分も働きながら3人の息子をしっかり育て上げた。
そんな息子たちは3人とも超優秀。小学校、中学校時代から3人とも文武両道の優秀な生徒で、学校内でも超有名な3兄弟だった。高校は地域のトップ校、大学も有名大に進学。現在は3人とも有名企業に勤め、重役級。
そんな息子たちの話を「これは自慢なんだけどね」と言いながら話すので面白い。
びっくりするぐらい全然嫌味を感じさせることなく自慢話ができる百合子さん。
でも、息子さんたちの話をすると必ず「私に似てね!」とお茶目に言う。とても可愛らしい。
最近息子さんたちと出かけた話などをいつも楽しそうに話される。

百合子さんの話は切れ間がなく、黒井が口をはさむ隙が皆無。
「そうなんですね!」「いいですね!」「嬉しいですね!」
といった一言ですら入れ込めないほどの弾丸トーク。
生活の様子や体の状態など聞きたいことがあっても聞くタイミングがない。
どうしても聞きたいときに割り込んでみると、質問に答えてくれるが、その質問をきっかけに「そうそう、そういえばね」とまた次の話題に移る。もっと聞きたいことがあったのに…!と思う。
今まで磨いてきた傾聴スキルやアセスメントスキルだが、全く刃が立たず。笑
まだまだ修行が足りないなと思う黒井であった。

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