夜の来ない朝はない

太陽が差し込む。
眩しさに包まれ、目を覚ます。

海のきらめきと行き交う船の挨拶が聞こえ、
窓の外では、小鳥たちが楽しげに飛び交う。
私は、それらに、
おはよう、と――

――言う前に。

布団に爪を立て、
布団に顔を押し付け、
呻く。
「嗚呼また朝が来た」
希死念慮をシーツで拭う。

あとは時計仕掛けに任せればいい。
服を着せて、
重力に任せて坂を下り、
人の流れに押されて電車に乗る。

脳は、未だ、眠ったまま。
心は、未だ、泣いたまま。

そうこうしているうちに、
夜が来る。
私はずぶりと眠りに墜ちる。

ただ、朝(あした)のために。

『朝に死に、夕べに生まるるならひ、』
―――鴨長明「方丈記」

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