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ものづくり

高校1年生から大学4年生までの間、高専で学生時代を過ごした。高専とは、高校生の頃から理系の専門分野を学ぶ少し特殊な学校で、特に「ものづくり」が盛んな学校だ。僕は、その中でも情報系、いわゆるITを学ぶ学科に所属していた。


7年も高専にいたものだから、僕は多少なり「ものづくり」に向き合った学生生活をおくっていた。しかし、それなりにやってみて気づいたのは、「ものづくり」が苦手ということだった。小学生のころから手先が不器用なことは分かっていたが、大学生になってもそれは変わらなかった。インパクトドライバーで木材にねじを打つのも、3mmくらいの小さなLEDを基盤にはんだ付けするのもうまく出来なかった。


とはいえ、子供のころからそれは知っていたので、キーボードを打ってプログラミングすれば、手先が不器用でも「ものづくり」ができる情報系の学科を選んだ。しかし、いざ学び始めるとプログラミングにも、そんなに興味を持てない自分がいた。分からないから嫌いなわけではなく、何かやってみようという気持ちが起こらなかった。高専入学して4年くらいは、自分は「ものづくり」が得意じゃないことに、コンプレックスを持っていた。


しかし、そんな僕にも得意な「ものづくり」が出来た。それは、資料や企画作りだ。きっかけは、高専5年生になって研究をやり始め、その発表資料を作っている時だった。どうやったら自分の研究を、人に上手く伝えられるか。これを考えながらの資料づくりが、かなり楽しかったのだ。そして、それをもっと発展させたのが企画づくりだ。自分がどこを目指していて、どういう方法をとるのかといったことを、企画という一つのまとまった形にする。これらを作ることに目覚めた時、高専の中での自分の立ち位置が確立して、コンプレックスを少し解消した。


僕が得意とする「ものづくり」は、高専の中では決してストレートではないと思う。しかし僕自身は、色々なことに手を出した結果、見出した自分のスキルを、それなりに気にいっている。自分のスキルが、居心地のいい所に落ち着くのは、それだけでいいものだと思う。

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