忘れっぽい私が、「あれどこにやったっけ」を起こさない唯一の場面
昔から何かと忘れっぽく、物の管理に手こずることが多い。
いや、物の管理、とひとまとめにいうのは少し乱暴かもしれない。
基本的に物持ちはいい方だし、一人暮らしを始めてからは整理整頓もしっかりやるようにしている。得意とはいえないけど。
私の弱点は、物を移動させたり片付けたりするたび「あれどこにやったっけ?」を多発させてしまう、というところにある。
「あれどこにやったっけ?」自体、誰にでも経験のあることだとは思うが、私はそれが特に多いようなのだ。
自分で「ここに置いておこう」と思って動かしたくせに、5分後には「あれ?ない」と探し回ることも珍しくない。六畳ワンルームの自宅でもそれはたびたび起きる。整理整頓が得意な人からしたらドン引き案件だろう。
ここまで来ると、自覚がないだけで、勝手にものをワープさせてしまうタイプの能力者なのではないかという気すらしてくる。
昔ある小売店でアルバイトをしていたときは、この弱点によって周囲に大変な迷惑をかけていた。
お客さんに渡す商品をバックヤードで完璧に梱包しておきながら、その置き場所を忘れてしまう(店内で置き場が決められていないというのも問題だったとは思う)。
覚えるためにメモをとり、数分後にそのメモをどこかにやってしまう。
能力者というか、ただの不良店員である。そのバイト先で長続きしなかったのは言うまでもない。
しかし現在の仕事(デスクワーク)で、そのような困りごとはほとんどない。パソコン内のデータを扱うときだけは、なぜか「あれどこやったっけ」が起きないのだ。
むしろ、「Google driveのAフォルダの上から4番目あたり、タイトルに◯◯が入っていた」のように道筋立てて思い出し、目当てのデータをすぐに見つけ出せることが多い。
友達にこの話をしたところ、「逆じゃない!?」と驚かれた。
「触れるものより、実体のないデータとかの方が、よっぽど"どこにある"とか認識しづらくない?」と。
確かにそうかもしれない。パソコンの電源を落とせば見えなくなってしまうデータより、手で直接触れられる「もの」のほうが、よほど扱いやすいんじゃないかという気もする。
自分でもなぜか分からないが、そういう実体のある「もの」でも、即座に視界に入らない以上は「ないもの」になってしまうのだ。毎日使っているマグカップでも、時計でも、ノートでも。
パソコンを前にしたときのように、何でもスッスッと思い出せたら、日常生活のムダな動作も減るのになあ…と思う。
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