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自律分散的な研究活動とイノベーション

「自律分散」というキーワードが一番適しているのかは分かりませんが、私は自分たちの研究プロジェクトのやり方を説明するときによく使うキーワードです。

プロジェクトや組織運営にはいろんなやり方があるのはもちろんです。

私も一つのやり方でやっているわけではありません。私にもいろんな役割があるし、すべての役割がリーダーというわけでももちろんありません。

自律分散的で活発な活動を展開するチームを組織するためには、チームメンバーが共鳴する明確なヴィジョンや目指す方向性があることと、チームに集まるメンバーの能力が高いこと、が必要と思います。もちろん、集まるための手段(今であれば、便利な交通手段やWeb、SNSをフル活用するのは当たり前)や、最初から能力が高くなくてもそのチームの中で能力を養成できること(学生はその好例)なども、もちろん重要です。

豊穣な社会研究センターは、「自律分散」的に運営したいな、とは思っていますが、今のところ、強いリーダーシップによるけん引と、自律分散的な動きが混ざってきている状況です。

豊穣Cの中の、元気なインフラ研究所は、自律分散的な動きが活発なチームであり、これからどんどん進化していくと思います。
特に、元気なインフラ研究所の中のチームである、HAYN隊(ヘイン隊、すなわち変態の集まり)は自律分散の極致かな、と当事者の一人として感じます。逆に、制御しようにも、抑えて留まるような連中が集まってません。。。HAYN隊は、建設材料の技術開発チームですが、得意とするのは、生コン、セメントやコンクリート系の環境負荷低減型の建設材料です。実行力のある生コン会社の社長たち、工場長など、ポンプ会社の社長、学生、地方自治体のエース技術者、コンサルタント、学者、などが自由な組織を形成し、まさに現場から生まれるイノベーションを連発していくチームです。会議も臨機応変、誰と誰がどこで会っているかも勝手ですし、横浜国大の留学生は日常的に静岡県伊豆長岡の生コン工場で実験している。学術論文も発表するし、開発した材料はすぐに社会実装。。。

HAYN隊は一つのモデルと思いますが、このような超自律分散的なチームのエネルギーも活用して、元気なインフラ研究所(長いので、「元気研」)や、豊穣Cをドライブしていきます。

一応、HAYN隊の名前の由来は、「細田(H) 暁(A)と愉快な(Y)仲間たち(N)」から来てます。というわけで、一応のリーダーは私。。。(のはず。。。)

さて、HAYN隊も包含する、元気研のターゲットは、日本中(いや、世界も含む)のインフラであり、私が得意とするのはコンクリートが関係するインフラです。コンクリートのインフラは種類も多く、数も膨大にありますが、インフラを新たに建設するときに、長持ちするように造るための技術やシステムの研究が一つの核です。「山口システム」はその発端であり、私がすでに15年近く関わってきたものであり、この発展や展開もまだまだ続いていきます。

元気研のもう一つの核は、すでにある膨大なインフラの維持管理を良いものにしていくことです。何も課題がなければ放っておいてもよいのですが、とにかく課題だらけ、なのです。特に、地方自治体が管理するインフラの維持管理の問題は、相当に根が深く、手ごわい問題と思いますが、それと格闘していく心強い同志たちが集まってきていますので、私も人生の一部をかけて(ミッションがたくさんあるため)チャレンジを続けたいと思います。

豊穣Cの3つの研究所の1つである、つながり方研究所(つな研)も、自律分散的な運営が向いているチームと認識しており、様々な自律分散的な研究プロジェクトが生まれてきています。今のところ、つな研も私が所長を兼務している状態ではありますが、まずもって、私はつながり方の専門家ではありません。つな研に集う方々はまさに多種多様なプロであり、私も彼らから数多くのことを学ぶことのできる自律分散的なサロンができてきています。

すでに、つな研のつながりの中には、僧侶も二人おられます。私は、お二人ともかなり懇意になりました。まさか、土木工学の研究者と、僧侶が、一緒に研究をすることになどなるとは思っていませんでしたが、今は自然体で仲間がどんどん増えてきています。

つな研では、例えば、次のような研究がスタートしようとしています。

・「和のコーチング」の開発と大学との連携
 コーチング、という仕事があります。つな研は、東京コーチング協会と連携を始めていますが(コーチングの詳しい説明は、Webをどうぞ)、細田の認識は、コーチングという、人の能力を最大限に発揮させるための、伴走者的役割(コーチ)は、社会の様々な場面で必要とされる、というものです。それこそ、私のような大学の教授は、学生の指導もコーチング、企業や行政などに対してもコーチングしているわけです。(コーチングというしっかりした手法を学んだわけではありませんが。)
 そこで、東京コーチング協会に所属するメンバーと、「和のコーチング」プロジェクトを始めようとしています。日本の魅力・ポテンシャルに気づき(もちろん腐りきった日本の課題もしっかりと把握)、日本由来の手法(日本的仏教などもその一つ)もふんだんに取り入れたコーチングというものを開発し、大学で情報発信し、ゆくゆくは横浜国立大学の都市科学部の正式な講義にしたい!と思っています。コーチングって、コーチをする側にも、コーチをされる側にも、いろんな方がなり得ると思っています。母親もコーチだし、少しくすぶっている大学の准教授とかそれこそ教授だってコーチを受ければよいし、大学の学長だってコーチを受けた方がよい場合もある。
 さてさて、どんな展開になりますでしょうか。

・センサーによる心身の活性度等の計測・評価と、それを活用した・・・?
 これも、とりあえず、センサーを4つ購入して、1つで私自身のデータを計測し始めました。いろいろ規定もあるので、まだ詳細は書けませんが、私自身大変魅力を感じています。
 例えば、上記のコーチング。コーチの達人たちはもちろんいますが、彼らのコーチングの本質とは?同じように、カリスマ教師っていますよね。予備校とか大学とかにもいます。とにかく講義が面白い、講演が面白い。聴いていてワクワクする。授ける側と受ける側、どちらもセンサーで計測できます。分析するといろんな情報が出てくるのは当たり前ですが、さてさて、これもどんな展開になりますやら。

他にもつな研では、様々なプレーヤーが、様々な動きを、自律分散的に実践していくことになるでしょう。

豊穣Cの活動は、豊穣Cに所属するメンバーが、センターの外、大学の外の方々と縦横無尽に連携して展開していきますので、ご興味のある方は遠慮なく細田暁研究センター長(concrete あっと ynu.ac.jp)にお問い合わせください。

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