【自治体調査│2020年度保育ICT補助金の自治体実施実績調査】「保育対策総合支援事業費補助金 保育所等におけるICT化推進等事業」について、全国の自治体を対象に実施実績を調査。実施市区町村は全体の約2割にとどまる
厚生労働省で推進する「保育対策総合支援事業費補助金 保育所等におけるICT化推進等事業」について、全国1,858市区町村のうち、私立の保育施設を有する全国の自治体1,441市区町村を対象に、2020年度の交付実施実績を調査しました。
調査の結果、「実施した」と回答した市区町村は都道府県内平均で20.7%(※1)にとどまる結果となり、制度はあるものの、実際に取り組みを行っていない市区町村が多いことが判明しました。
昨今の保育ニーズの増加に伴い、待機児童問題や保育士不足の問題が叫ばれています。厚生労働省では保育の受け皿確保や保育人材確保を目的に、平成25年度から現在までに「待機児童解消加速化プラン」、「子育て安心プラン」、「新子育て安心プラン」と実施しており、令和3年度の「保育の受け皿整備・保育人材の確保等に向けた取組の推進」のための予算概算要求としては1,055億円を発表(※2)しています。
また、各地方自治体でも保育に関して課題の改善に取り組んでいますが、保育に対して割り当てられる財源も限られている中で、どの部分に力を入れるべきかは自治体により状況も異なり、必ずしも保育ICT補助金の実施に力をさけない、またはその段階にない自治体があるのも現状です。
調査結果トピックス
1.保育ICT補助金を実施した市区町村は全国で20.7%にとどまる
2.実施した市区町村の割合1位の都道府県は「広島県(53.85%)」
調査資料【2020年度保育ICT補助金自治体実施実績調査】
▼(資料1-1)2020年度保育ICT補助金自治体実施率ランキング
■調査概要
調査名 :2020年度保育ICT補助金の自治体実施実績調査
調査方法:電話調査
調査対象:私立園を有する全国の自治体1,441市区町村
調査時期:2020年3月~2021年10月
調査主体:千株式会社
調査結果トピックス詳細
1.保育ICT補助金を実施した市区町村は全国で20.7%にとどまる
厚生労働省により、「保育所等におけるICT化推進等事業」として、業務のICT化等を行うシステムや機器の導入にかかる費用について補助金を交付していますが、実施は各自治体に委ねられています。そこで、2020年度の補助金の交付実施実績を各自治体へ調査したところ、全国の実施率は20.7%という結果となりました。
2.実施した市区町村の割合1位の都道府県は「広島県(53.85%)」
保育ICT補助金を実施した自治体の割合が高い都道府県は、「広島県(53.85%)」、次いで「大阪府(46.38%)」「福岡県(38.03%)」という結果となりました。自治体の実施率が「10%~19.9%」という都道府県の割合が一番多くなっており、保育ICTを推進する制度はあるものの、実際に取り組むまで至っていない市区町村が多いことが分かりました。
保育ICT補助金を実施した市区町村の割合が1位であった広島県の中でも、市内全ての区で実施があった広島市のこども未来局 保育指導課に話を聞くと、毎年国から制度が通達された際に、各園に向けて告知し希望園を確認しており、公立園・私立園共に1年ごとに段階的に導入を進めているとのこと。
広島県内で保育ICT補助金を実施した自治体の割合が多かったのは、こうした各自治体による地道な活動が実を結んでいるのではないかとも考えられます。
※1:本調査は、都道府県が有する自治体ごとの実施有無を調査するもので、全保育施設を調査した数字とは異なります。
例)都道府県内にある自治体20のうち、10の自治体が実施している場合「実施率50%」となる。
※2:出典 厚生労働省「令和3年度 保育関係予算概算要求の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/000677014.pdf
▼(資料1-2)2020年度保育ICT補助金自治体実施率ランキング 円グラフ表示