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Vol.13 「保育士が活躍できるのは保育園だけじゃない」実体験から見えた保育の可能性とは?

つくばに在住で現在育児休暇中の保育士、西巻芙海(ふうみ)さん。
4人姉弟の三女で、2人の姉も保育士の資格を持っている(長女は西巻慧菜さん)。
保育士の資格を持つ3人の姉妹の中で、保育士になりたいと最初に思ったのは芙海さんだそうです。

芙海さんが保育士になろうと思ったきっかけや、念願の保育士になって感じたこと、そして未来に向けて考えていることについてお話を聞きました。


子どもの頃感じていた気持ちを大切にしたい

保育士になろうと思ったのは小学生の時。私には8歳離れた弟がいて、弟のお世話をしていて楽しいと感じていたことが一つ。
そしてもう一つは、離婚して離れて暮らす父が連れて行ってくれた先に、素敵な保育士さんが多かったこと。父の仕事の都合上、自然の中で遊ぶことが多かったのですが、その時に接してくれた保育士さんたちが優しく、イキイキと活動されていて、無意識に憧れていました。

子どもの頃、私は大人に理不尽に怒られたり勝手に決めつけられて怒られることに違和感を持っていました。
だから、「私が大人になっても、子どもの気持ちを大切に覚えておこう。」と子どもながらに思っていました。

その後も子どもの気持ちに興味を持ち続けていて。普段から「どうして(子どもは)こういう行動や言動をするんだろう?」などと考えていたので、大学進学の際は子どもの心理が学べる「幼児心理教育コース」のある所を選びました。小学生までの子どもの気持ちに興味があったので、大学では幼稚園・小学校の教諭免許を取得し、保育士資格は在学中に国家試験で取りました。

公立保育園に就職して気づいたこと

新卒で就職したのは神奈川県某市の公立保育園。私は大学在学中に幼稚園・小学校の教諭免許取得を優先していたので、保育園での実習(担任の立場としての実習)は受けていませんでした。保育園でのアルバイトは経験していたのですが、実習で担任を経験するのと、アルバイトでサポートするのとでは全く業務内容が違います。その状態で突如3歳児クラスの1人担任になることに。正直なところ、最初は何をどうして良いか分からず、保育士の先輩に指導していただきながらとてもハードな毎日でしたね。

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日々、保育士として経験を積んでいくうちに、気づけば私は幼少期の体験や思いを整理する作業もしていました。
父が連れて行ってくれた先での出会いや、母の再婚相手など、血の繋がっていない周りの大人に支えられ、家族と上手くいかないことがあったときにもその存在に救われてきたことを実感しました。
「親とはまた違った角度から子どもの育ちを支えられる存在になりたい」、改めて保育士としての自分の役割を認識するようになりました。

公立の保育園は、家庭環境が複雑な子どもがいたり、障がいのある子どもがいたりといろんな子どもが共に生活します。まさに社会の縮図です。
毎日学ぶことがありすぎて、ただ子どもたちと向き合うことに精一杯でしたし、担任として保育する責任の重さを感じていました。
3年間勤務して、結婚したことがきっかけでつくば市に引っ越すことになりましたが、とても良い経験になったと思っています。

妊娠・育休中に気づいた保育士の存在意義

公立保育園以外で園児一人ひとりと向き合える環境で働きたいという思いから、引越し後は家事に重きを置きつつ、オープニングスタッフの企業内保育・託児所で勤務しています。

妊娠中に、気づいたことがあります。
夫はモータースポーツ関係の仕事をしていて山での仕事が多いのですが、妊娠中に、休職して夫の職場について行っていたんですよね。
週末、その職場に小さい子どもがいる家族が来ることがあるのですが、私は現地で保育士としてその子どもたちと遊ぶことにしたんです。

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その時、保育士は保育園だけで働くのではなく、どこでも活躍できるということに気づきました。そして、私が子どもの頃に遊んでもらった保育士さんのように、今度は自分が保育士として子どもと関わり、少しでも子どもの育ちの支えになれたらと思っています。

身近なところから支える存在になりたい

自分でできることは限られていますが、夫の職場での出来事のように、身近にいる人から少しずつより良い子育て環境にしていきたいですね。

実際に「今コロナ禍でどこにもいくところがないんだよね」、という近所のお母さんに、支援センターを勧めています。「この子が生まれて初めてこういうところに来られた」と、ホッとしたような表情をしていました。
家庭の中だけで全てが完結していたり、孤立しがちな親子を、できるだけ家庭の外へと連れ出し、子どもにいろいろな人と関わる機会を与えたい。
保護者を支えることは、子どもにも良い環境を与えられることだと思っています。
身近でできることを一つひとつ行動に起こしていきたいですね。


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