【第33話】油井園長の葛藤①
油井益代(あぶらいますよ)は、長年保育現場で多くの子どもと関わってきた。そのため、管理職である園長という立場でありながら、常日頃から各クラスに入って子どもたちと関わっていた。
やはり自分は子どもと関わっている時が一番楽しい、と油井は感じていた。
保育者を志したのがいつだったのか、あまり明確ではない。
益代の実家は農家で、繁忙期には地域の子どもたちを集めた季節保育所に預けられていた。益代は一人っ子だったので、保育所で友達と遊んだり、自分より幼い子どもの面倒を見るのが好きだっ