【第31話】幻想の中で生きる②
自分が感じていることと現実には乖離があるのかもしれない、と順子は考えるようになっていた。
最近、順子が保育において気になっていたのは、保育者の子どもの理解が浅いということだ。
たとえば保育者の保育記録を読むと、「〜して遊んだ」「〜を楽しんでいた」という記述が多い。
しかしこれでは、子どもが何を楽しんでいたのか、記録を日々チェックしている順子には理解できない。
もう少し丁寧に子どもの興味関心や育ちを読み取って欲しいという思いが順子にはあった。
そんな思いから順子は、つい保育