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場面緘黙症ブログ「12歳の私が伝えたかったこと⑥」 〜たった一人の卒業式。そしてみんなと〜

4歳の時、幼稚園入園をきっかけに「場面緘黙症・緘動 ※」を発症した娘。
その後不登校やパニックなどを経験し、ようやく自分を振り返ることができた12歳の頃に綴ったブログを再構成しました。
(※場面緘黙症:家庭では話すことができるのに、社会不安のためにある特定の場面、状況では話すことができなくなる疾患。強い不安により体が思うように動かせなくなる「緘動(かんどう)」という症状が出る場合もある。)


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3月16日、私は小学校を卒業しました。


私は卒業式に出たいと思っていたけど、やっぱりそれは難しいと感じていました。
頭の中では、私がみんなと同じ場所で卒業証書を受け取る場面を何度も想像していました。

でも、実際はそんな風にできるわけない。

卒業式に出ることは、絶対に無理だと思っていたけど、どうしてもあきらめられず、私は卒業式ギリギリまで、どうするか決められませんでした。


校長先生は、私にいくつかの選択肢を提案してくれていました。

・みんなと一緒に卒業式に出る
・校長室で卒業証書をもらう
・先生が家に来てくれて卒業証書をもらう
・みんなが帰った後で体育館で卒業証書をもらう
・そのどれも無理なら代わりに親が受け取る


父が卒業生の保護者代表の挨拶をするために式に出ていたので、私が行けそうなタイミングを何度か知らせてくれましたその度に葛藤しました。


でも、私はみんなのいる学校にはやっぱり行くことは無理なので、一人の卒業式を選びました。

生徒のみんなが帰った知らせを聞いてから、私は学校へ行きました。
壇上に上がるのは絶対にできないと思っていたけど、私は勇気を出して、一人でステージに上がって、校長先生から卒業証書を自分の手で受け取りました。

その時の私は夢の中にいるのではなくて、入学式と同じ体育館で卒業したことを実感できた、本物の時間でした。


式の後、久しぶりの教室に入り、担任の先生から歌のプレゼント、保健の先生から成長の記録、校長先生から手作りの貝のオブジェなど、たくさんの贈り物をもらいました。

その時、実は、私が大丈夫なら会えるように、クラスメイトが図書館でこっそり待っていてくれました。
私は、ずっとクラスのみんなに会いたかったので、先生に「会えそう?」と聞かれたとき、すごくうれしくて、迷わず、うなずきました。


五年ぶりに教室に、クラス全員がそろって、先生は最後のホームルームをしてくれました。

小学校の6年間は、そのほとんどは学校には行ってないけど、私にとって

あってよかった時間 です。



その時間の中で、私は、楽しかったり、うれしかったり、悲しかったり、くやしかったり、苦しかったり…いろんな時間がありました。

そして、いろんな人に出会って、いろんな経験をすることができました。
私は、中学校にもきっと行けません。

でも、次の3年間も
「あってよかった」
と思える時間になったらいいな。


中学校を卒業するときの私に聞いてみたいです。


自分のやりたいことが出来ていますか?

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