[場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)・緘動(かんどう)・発達障害・不安障害・不登校などの生きづらさ]への理解 第5話 「必要な言葉が言えること」
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長女は4歳の時、幼稚園入園をきっかけに場面緘黙症・緘動(※)を発症しました。
※:家庭などでは話すことができるのに、社会不安のために、ある特定の場面、状況では話すことができなくなる疾患。強い不安により体が思うように動かせなくなる「緘動(かんどう)」という症状が出る場合もある。
症状のでかたや困難さはそれぞれかと思いますが、娘の場合を伝えていきます。
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長女は小学1年生の終わりから生徒のいる学校へは行けなくなりました。
場面緘黙症や緘動の症状が際立って現れるのは教室などのあらたまった雰囲気のある集団場面だったので、不登校になってからは体を動かせなくなるほどの緘動状態になることはあまり経験することがなくなりました。
しかし、その後も本人にとっての緊張場面では言葉を発することが出来なくなり、思うような動きが出せなくなることは14歳になった現在でもあるといいます。
娘は特定の目的のためには一人で外出するスキルはあるので、お友だちの家までバスを乗り継いで出かけることができます。
娘は自分が話せない、動き辛くなるなどの場面の想定をし、準備をして出かけます。
コンビニでは、おにぎりやおやつなど、商品をレジに持っていけば購入できるものはなんとか大丈夫。
注文を言葉で伝えなければならない肉まんやカフェメニューは避けますが、小さな指さしの動きで注文できるような配置にメニューが置いてあれば可能です。
でも、直感的に無理かなと感じる店員さんやお客さんが並んでいたらやめることができます。
レジや運賃支払いの際に、もたついて焦らないように、事前にチャージを済ませたプリペイドカードを使います。
ところが、想定外の困り事は当然出てきます。
会計の時、「○○でお願いします」などという声を出せないので無言でプリペイカードを出すのですが、袋詰め作業などで店員さんがこちらを見てくれないとき、とてもドキドキしなければなりません。
動きも自由ではないので、カードをちらつかせるなどのアピールも出来ません。
「まだ?」という感じでやっとこちらを見てくれて、
「あー、カードね。さっさと言ってよ。」
というような空気や、後ろに並んでいる人からの威圧感などを敏感に感じてしまいます。
小さな子どもが小銭を握りしめてレジでもたついても、むしろ癒されたようににこやかに対応してくれるのと違い、見た目には分からない成長した人の生きづらさに対しては、迷惑そうな表情も時に受け入れなければなりません。
もちろん、大抵の方はそれでも優しく親切な対応をしてくださいます。
めげずに対策を講じてたくましく生きる他ありませんが、そもそも稀な不安障害を発症してしまうガラスのハートの持ち主。
凹んだあとの次なるチャレンジには大きな勇気と時間が必要です。
「すみません」のたった5文字。
「あの…」のたった2文字でもいい。
言えたらどんなにいいだろう。
「ありがとうございます」の10文字なんて最高の言葉です。
言葉は当たり前ではないんだなと思います。
必要なときに、必要な言葉を伝える。
これはできない人にとってはすごく憧れだと思います。
声にならない言葉もあります。もあります。
だからこそ、あらためて、思いを大切にしたいです。
プロ野球の元打撃コーチ高畠導宏さんの言葉を目にしたことがあります。
「大きな目」、「小さな口」、「優しい目」。
こんな姿で目の前の人に向き合えたら、障害のある人にもない人にも、どんな人にも生きやすい場所ができそうです。
例は、娘のケースです。
すべての場面緘黙症・緘動の症状にあてはまるわけではありません。
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例は、娘のケースです。
すべての場面緘黙症・緘動の症状にあてはまるわけではありませんが、知ってもらうことはとても大切だと改めて感じています。
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