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コロナ禍での大逆転劇、アソビュー13億円の資金調達~YJCが支援する理由~

初めに

まずは、アソビューの皆様、資金調達おめでとうございます!アソビューの資金調達に微力ながらお手伝いできたこと、そして、堀が大切な思いで支援してきた、アソビューの担当を引き継ぐ運びになり、アソビュー今後の大勝負にご一緒できること、本当に嬉しく思います。

コロナの蔓延、緊急事態宣言、結果流通高の激減など、大変な時期がアソビューやYJCにありましたが、支援させていただく方針でアソビューさんと話が固まった時には、復調の軌道に乗り、今になっては昨対比成長率が230%超える見事な大逆転劇を繰り広げています。

アソビューとの出会い

アソビューの出資を検討し始めたのは、私がYJキャピタルに参画して間もない、2020年3月頃からだったので、YJCで初めて深く携わったスタートアップで、弊社代表の堀が重点的に支援してきていたこともあり、とても気合が入っていました。

 コロナによる影響がまだ深刻化する前でもありましたし、新しいアクティビティとの出会いというわくわく感を常に与えてくれるサービスでしたので、個人的にも大ファンで、資金調達にかかわれること自体もとても楽しみにしていました。

初めて、代表の山野さんやCFOの河合さんに会ったときは、そのエネルギーレベルにビックリするくらいでした。「元気すぎ(笑)」という印象があるほど、とてもハキハキしていて、いつの間にか話している相手も楽しくなる方でした。CFOの河合さんと資金調達に関する実務のドライな話をするはずの打合せで、「こういう機能あるといいんですよね」とか、「こういうのも予約できるといいんですよね」みたいな話をその打合せの半分以上してしまったのは、いまだに記憶に鮮明に残っていて、本当に楽しかったんだなと思います。

コロナ

しかし、YJCでの出資検討が進んでいた中、日常生活はもちろん、経済に多大な影響を及ぼしているコロナの蔓延により、日本でも今までにないレベルでの影響を与えることになります。インバウンドと国内の観光客共に激減し、4月には緊急事態宣言が発表され、観光やアウトドアのレジャー需要自体が消えていく中、アソビューのビジネスにも大な影響が及ぶことになりました。アソビューの事業ドメインは、特に影響が大きかった領域の一つの旅行産業です。業績への影響も大きく、売上は昨対比マイナス95%と大打撃を受けました。

担当としても、最初はかなり悔しい思いをしました。しかし、悔しがっていられませんでした。なぜなら、アソビューの皆さんはその状況下でも冷静に、諦めず、くじけず、前に進み続けていたのです。輝き続けていました。不屈の精神でプロダクトと組織共に変革を起こしていたのです。

すぐに私の悔しさも吹き飛ばされました。有事にもこれだけの力を発揮し、普段より速いスピードで前進するアソビューの皆さんの姿から、アソビューの真の強みを再発見することができました。そして、YJCだからこそアクセスできるデータにより描くことができた投資仮説が組み合わさることによって、コロナ真っ只中でも、アソビューへの支援を決断することができました。

アソビューの真の強みを確信した瞬間

何よりアソビューやその事業の根幹を支えているのは、顧客第一の視点だと思います。徹底した顧客へのヒアリングと、そのヒアリング結果に基づいた、ソリューションを考え抜き、それを瞬時に開発・提供する推進力が、有事の時だからこそさらに真価を発揮していました。結果、コロナ禍でもゲスト(ユーザー)とパートナー(サービス提供者)両方にとって、少しでも安心してワクワクできる体験が実現できる環境整備につながったのです。「コロナ禍だから今は何をやっても無駄だから」とか、「パートナーが今そもそも営業を続けるモチベーションがない」とか、簡単に事業回復のチャンスを諦めることもできたかもしれません。しかし、アソビューは違いました。こういう時だからこそ、顧客のためにアソビューにできることが、きっともっとあるはずという「顧客観点」を失わず、全力投球していたのです。

しかし、当然ながらコロナ禍において、緊急事態宣言や一部休業体制の開始、リモートワークが増えることにより、従業員が感じる、会社行き先の心配、そして何より自身の今後の雇用に関する心配は増えるばっかりだったかと察します。アソビューが、外の顧客ばっかりに注力してしまっていたら、組織のケアができず、上記で説明した顧客のための行動がとれなかったに違いありません。しかしながら、山野さん含む、アソビューでは、この従業員も一つの顧客という思想のもと、誠実に従業員の声に耳を向け、常にSlack等で、会社の現状に関する情報共有を行うことによって、不安を払拭することに徹していました。そして、従業員が求めていた成長の機会を、異業種や異なるテーマの企業への出向制度などを通じて、きちんと提供していたのです。これらを通じて、従業員の皆さんも安心してさらにワンチームとして結束できたのではないかと思います。

アソビューは、危機をチャンスに変えるために、顧客と組織の変革を起こしていました。これは、常に顧客と組織の成長を考え、アソビュー自体が両方にベストなソリューションを提供するという強みそのものでした。

コロナ中のアソビューの大活躍は、代表の山野さんのNoteに詳しく書いてあります。ぜひご一読ください。

最後に背中を押してくれた、YJC独自のデータ

もう一つYJCとして、確信をもって今回の資金調達を支援すると決めた裏には、YJCならではデータのより得られる市場に対する視認性にあったと思います。もちろんすべての投資がデータに基づいて判断されるわけではありませんが、アソビューの件においては、将来へ向けた仮説を立てるために一定の市場動向に関するデータを活用しました。

マクロのデータをまずは徹底してリサーチしました。特に中国でコロナの感染が少し収まった時にトラベル・レジャー・アクティビティ領域における消費者の行動変化、そしてMcKinseyなどのコンサルティングファームが行っているサーベイなどから、アソビューが展開している、そして展開しようとしている領域は、「旅行」や「外遊び」という文脈では、今後の速いスピードで回復を成し遂げ、大きな成長をするポテンシャルを持っているというインサイトやマーケットシグナルを十分得ることができました。

 また一つ面白いデータで、レンタカーの利用数がふえており、感染を避けながら身近なところへの観光が目的となっていたのです。

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しかし、それよりYJキャピタルでの判断を決定的に今回後押ししたデータは、ヤフーが保有するデータでした。ヤフートラベルや一休、パスマーケットなどの旅行・レジャーや余暇関連のビジネスのアクセス数や流通高、そして早い段階から消費が回復の輝度に乗り出したカテゴリなど、日々更新されるデータから得られるパターンを分析し、アソビューのビジネス領域で市場全体の速い復調のシグナルを発見することができました。また単純に混雑マップから可視化されるデータも追いかけました。そして、「トラベル市場は、身近なところへのお出かけ・レジャー施設の利用から、速いペースで回復する」という仮説を立てることができました。

 この仮説を証明するかのように、6月以降、実際アクティビティレやジャーのビジネスのトラクションや予約が回復トレンドを見せ始め、特に身近で楽しむ旅行、そしてしっかり感染防止対策をしている施設などを中心に市場がかなり回復してきました。

最後に

絶体絶命の危機から、今となっては急成長を成し遂げているアソビューですが、売上がマイナス95%からプラス230%まで、これがほぼ半年で起きたことです。ここまでの大逆転劇を実現し、資金調達も無事に完了できたのは、今振り返ると、アソビューの皆さんの不屈の精神と前向きなDNAにあったかなと思います。

ゲストさんのためにも、パートナーさんのためにも、そしてアソビューの皆さんのためにも、一日でも早くコロナが収束することを心から祈念しております。

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