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A4一枚で遊べるペーパーゲーム Vol.3 「素数の島」

「素数」は英語ではPrime Numberというそうです。小学生のころ、夏休みが終わって学校に行ったら「引き算」のやり方を忘れていたことがある私としては、長い休校期間を憂うわけです。で、少しは数学の香りがするゲームを作りました。

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1枚目がプレイ盤とコマのパーツ、2枚目は遊び方なのでプリントしなくても構いません。

二人でサイコロを使ってプレイする対戦型のゲームです。賭け事には使わないように。
ゲームの作成は10分程度、1プレイは3~5分程度。バラツキがありサドンデス要素もあるので、10番勝負にするといいかもしれません。
その時は、勝ったときに残っていた自分のコマが止まっている番号が得点になるとよさそうです。(安全地帯はゼロ点)

ゲームの作り方

作り方は簡単(10分程度)です。

1.プレイ盤と駒を切り離す

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2.実線に沿ってカットして、点線を山折りにします。

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コマの完成形は三角錐になるので、4つの三角を山折りにして、白い面に耳がついている面を重ねます。

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耳の部分を内側に折り曲げれば出来上がり。

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こんな形。

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ひとチーム3コマなので、コマは6個です。

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これで完成です。ルールは簡単です。

サイコロを二つ振って、出た目の和で一つの駒を進めます。素数のナンバーの島(2・3・5・7・11)にとまったら「素数コマンド」を発動します。その時はサイコロを二つ振って、その積が素数コマンドの条件に合うかどうかで成功/失敗します。

相手を全員海に落とせば勝ちです。

素数の面白さ

素数であることは知識以上の役には立たないけど、数学の神秘の入り口の香りがします。(私は数学の神秘はほとんど知らない)ちなみに、素数と完全数は違います。詳しくは「博士の愛した数式」を読むと面白さを感じることができると思います。

このゲームを進めるにあたって、「3倍数」とか「4または6の倍数」とか「9以上」といった条件が出てくるので、楽しみながら算数の数量感覚の獲得に役立つと期待しています。

具体的には、

「ここで一発、6の倍数を出して”まわしげり”で一網打尽じゃ!」

とか、

「9以下で”のろい”にかけてやる。確率高いんだぜ~」

といった楽しみ方ができます。(楽しいのか?と思うかもしれませんが、小学生的にはだいたいウケます)

ちなみに、これらの技は「素数コマンド」というネーミングにしました。それぞれの素数コマンドの成功確率(出目の確率)は、遊び方シートに記載しています。素数コマンドは、二つのサイコロの目の掛け算の値を使います。

例えば”にげる”コマンドを充てている「偶数」は、二つのサイコロの積の場合、75%の確率で出るのです。当たり前かもしれないけど、意外でした。

このへんのバランスを楽しんでいただければと思います。(素数は関係ないですね)

前作「Six by Six」からの工夫

子供のころ花札の得点計算で2のべき乗を暗記したのが、ITの世界でとても役立つとは、その頃は思いませんでした。(2「にぃ」→4「よん」→8「ぱ」→16「いちろく」→32「ざんにぃ」→64「ろくよん」→128「いちにっぱ」→256「にごろ」)

そこまでの効果はないけど、計算ドリルより面白く何度も計算することになるところが、今回の「素数の島」の狙いです。

そのほかの工夫ポイントは、

・コマのデザイン

より”つまみ”やすく、形が安定するように。三角錐の形がキープできるようにしました。(今回は対戦型にしたので、6コマ取れればよく、この形が実現しました)

・サイコロは常に二つ

サイコロを一つ振る、二つ振る、というアクションの違いがちょっと煩雑だったので、レバレッジ要素を出目の確率側に寄せる設計にしました。

・「願いを込めてサイコロを振る」という感じを大切にした

今回は「どうしても6の倍数を出したい」と思いながらサイコロを振る感覚を強調するため「素数コマンド」というシステムを考案しました。特に11の素数の島ではサドンデス or 一発逆転要素を盛り込んだので、形勢が不利でも逆転可能です。

英語版にするのはまた今度

今回は英語版はまだ手を付けていません。というか、難しそう。

このほかのペーパーゲーム「Six by Six」と「5五将棋」(なぜか英語版)もよろしくお願いします。

これらを作ってた時はまだ今ほどの状況ではなかったので、海外の方の「Stay Home」促進にちょっとでも役立てばと思ってたけど、もうそれどころじゃない感じ。日本はこれから来るのでしょうけど、少しでも遅らせ程度を軽くするために、やはり家に居ましょう。

ところで、素数という字は遠くから見ると、「素敵」に見えたり「素麺」に見えたりしませんか?「素」しか合ってないけど。

下の写真は最初のプロトタイプです。

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そういえば、これまでに作ったゲームの特徴として「最後の一人になると、自由度がなくて不利になる」という性質があります。やっぱり、人間一人では力が弱くて、仲間がいることが大事なんだと感じ取ってもらえると嬉しい限りです。

ビデオゲームでもいろいろと学びのある作品はたくさんあるけど、親子で楽しめるボードゲームも楽しいものです。

しかしながら、紙一枚に収める&実装の作業がしんどいので、次はトランプゲームでも考えようかしら…

(2020.05.02 追記)

というわけで、トランプゲームも考えました。簡単でスリリングな心理戦です。



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