サバンナの象のうんこよ。『ラインマーカーズ』穂村弘
「短歌」をじっくりと、腰を落ち着けて読んだことはありますか?
年末年始、機会があって、穂村弘という歌人の短歌集、『ラインマーカーズ』を読みました。その大半は、良く意味がわかりませんでした。ふわふわと捉えどころがないのです。
しかし、いくつかの言葉には、「ハッと」させられました。自身の過去の記憶を呼び起こしたり、うまく表現できなかった感情を代わりに言葉にしてくれたように感じたり、説明できない感動を心に灯してくれたり。
この『ラインマーカーズ』という短歌集を買ったのも、次の歌が何ともユーモラスで、かつ素直な感情の吐露が心を揺さぶったからでした。
そういう話を同僚の先生にしたら、萩原慎一郎の『滑走路』という短歌集を勧めてくれ、これも読んでみました。
こちらは、比較的意味がわかりやすかった。しかし、生きていく苦しみがそのまま短歌に込められているようで、なかなかしんどいものでした。
同じ短歌でも、こんなに世界観が違う。そのことを、萩原慎一郎自身も次のように詠んでいます。
俳句や短歌は、喜怒哀楽がないまぜになった心の奥底から絞り落ちてきた雫のようなものだと思います。小説のようにわかりやすくはない。でも、その言葉の中には、誰かにとって思いもよらない価値を含んだ言葉があるかもしれません
人はそれぞれ生まれ持ったDNAも違えば、生きてきた道も、これからの未来も違います。同じ言葉でも、読む人によって、また読む時期によって、輝いて見えたり、灰色に沈んで見えたりします
穂村弘と、萩原慎一郎の生き方について、ここではあえて書きません。先入観を持たず、ぜひ一度、二人の歌人の短歌を目にしてみてください。
いくつか、個人的に「ハッと」させられた短歌を、並べてみます。
穂村弘から以下の4首。
萩原慎一郎から以下の4首。
※ここで紹介された本は萌学舎文庫(自習室の本棚。2週間貸出)にあります。