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断捨離をした、その4年後のはなし。

ある日思い立って大量にものを捨てた。

家にあったグッズも、大学時代好きだった服も全部処分した。
本ももう読まないと思ったものは全部古紙回収に出した。

親にも心配されるくらい部屋中がゴミ袋だらけになったけれど、私は充実感でいっぱいだった。
まとめたゴミ袋たちを外に出しガラリと間が抜けたような部屋は当時の私の心境とそっくりでどこか寂しい空気が漂っていた。


でも、これでよかった。
何もかもをリセットして「ここから再スタートしよう!」と心に決めた。
それが社会人1年目の秋の話。



あれから4年が経った。

ニトリで買ったホワイトのカラーボックス2つにずらっと並ぶのは

本、
本、
本。

母の書籍も足したら余裕で300冊は超える。
まだまだ読書欲は衰えそうにもない。
今欲しいのは小説やエッセイ、実用書は読み飽きた。

本だけでは飽き足らず、あれだけ捨てたグッズも方向性を変えて大復活。
最近集めているのはちいかわとすみっコぐらしのアイテムだ。
流石にオタク全盛期まではいかないものの部屋のあちこちにある置物やフィギュアたちが今日も私を迎えてくれる。

ついでに服も大量に増えた。
言い訳をすれば北海道は本州と比べると冬が厳しすぎて服が必要なのだ。
特に昨年は例年よりも大雪だったこともあって暖かいコートやインナーやらをわんさか購入した。

今は全て圧縮袋に入れて保管しているからいいものの…、冬前にあれを開封しなくてはならないと思うと今から憂鬱になってしまう。

衣替えってどうしてあんなに面倒くさいのだろう。


ここまでで気づいた人もいるかもしれない。
断捨離前の状態にすっかり戻ってしまったのだ。

捨てた反動のリバウンド、ではない。
4年かけて緩やかに、穏やかに、私が気づかないうちに元通りになっていっ

ただ断捨離した当時はシンプルな暮らしやミニマリストのような方々に憧れていたから少しだけ寂しさはある。
「ああ、私はこの世界の人間ではないんだな」と静かに烙印を押されたような…そんな気持ち。

付け加えるとすれば、断捨離をする前の部屋と今の部屋でひとつだけ違うところがある。
それは捨てたいと思うものがなにひとつないこと。
たまに古くなって劣化したものや入替として処分することはあるものの、断捨離するほどものにうんざりするなんてことは全くなくなった。


どれも私にとって必要で大切な家族であり、
愛すべきコレクションなのだ。

そんな部屋で毎日過ごせるのは幸運以外のなにものでもない。
私はとても恵まれている。

人との出会いが巡り合わせであるように、ものとの出会いだって偶然の重なりでしかない。
どうせ歳をとってこの世と別れを告げるときが必ず来るのだから、その日が訪れるまでの間くらいは朗らかに暮らしていきたい。

欲張りなのだよ、私は。


ほがらか

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