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フィルムカメラには、魔力が詰まってる。
4年前、異常なほど夢中になってとうとう中古カメラ屋さんで働いたことがあるくらいカメラが好きだった。
今もあの時ほどの情熱と体力はないものの、手持ちのフィルムカメラをまじまじと見ると「ああぁぁぁ〜…!」と声にならない唸り声をあげるくらいには好き。
そんな元ガチ勢だった私の愛機は、デジタル一眼レフのCanon 5Dm4とフィルム一眼レフのNikon NEW FM2。
5Dはご存知の通り本当に高い買い物だった笑。
当時中古でもレンズと合わせて40万円以上したれっきとしたプロ機をなぜ小娘の私が欲しいと思ったのかはいまだに謎に包まれたまま。
金額、使い心地、その他諸々を考えても5Dの方がいいカメラのはずなのに、思い入れがある方は?と聞かれたら絶対に今も昔もFM2と答えてしまう気がする。
だって、フィルムカメラには魔力があるのだから。
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私にも魔力の正体はわからない。
魔法なんて言ったって誰かを攻撃するわけでもないし病気を治すことだってできない。
そりゃそうだ、カメラは写真を撮る機械であってそれ以上でもそれ以下でもない。
重たい金属の本体を両方の手でしっかりと抱えて
右目でファインダーで構図を確認しつつ
左手でじっくりと焦点を合わせる
そして一瞬のきらめきを感じた瞬間
迷いなくシャッターを切る
文章にしてしまえばそれだけの話。
でも、シャッターボタンを押すまでの静寂はいつも何か違う。
まるで狐に化かされたような不思議な気持ちになる。
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現像に出したフィルムのデータをワクワクしながら確認すると「ああ、やっぱり魔法にかかってたんだなあ」とストンと腑に落ちるのだ。
いつもみている風景だってフィルムを通すだけで別世界への案内状に早変わり。
どこか幻想的でノスタルジックなパラレルワールドに迷い込んでしまったかのような錯覚を起こしてしまう。
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それはFM2に限っての話ではなくて、きっとフィルムカメラ全般に言えることなのだろう。
魔力の強さでいえば二眼レフの方が強そうだし、下を向いてシャッターを切るなんて余程の魔力の持ち主に違いない。
(なお私は全然使いこなせなくて手放しました…あれは難しすぎた…。)
これも昔の話になってしまったけれど、当時働いていたカメラ屋さんの元店長さんの言葉を思い出す。
「最近いい状態のカメラってどんどん海外に流出したり、壊れちゃったりして残っているものが本当に少なくなった。フィルムもどんどん高価になっているし、あのときFM2を手に入れられた君は幸運だったね」。
そういえば高騰する前に、と思って買っておいたフジフィルムの業務用フィルムも気づいたら全部期限切れになっていた。
フィルムカメラは時代遅れの機械。
そう認めざるを得ないものの、デジタルカメラにはない味わいを失いたくない悔しさは今もこの手に握られている。
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もしかしたら魔法が使えなくなる日が、着々と近づいているのかな。
そのときが来るまで。
あともうちょっとだけ。
私、魔法を使ってもいいですか。
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ほがらか
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